進行期がん患者に対するがん検診

メディケアのデータ研究で、がん検診は、生存期間に限りがある場合、その価値は低いという前提でなされている。すでに、進行期がんのある人に、がん検診が、いまだ、なされているという報告。

功利性を重視しない日本人の観点だと、ずいぶん、冷たい話のように思えるが・・・こういう科学的思考で医学は構成されてるんだなぁ・・・と改めて思った。


検診自体が、金を消費したうえに、検査および検査に付随して有害性を含蓄する・・・そして、被験者に余計な心配をかけさせる”・・・そういう無駄な検診を批判している報告。

Cancer Screening Among Patients With Advanced Cancer

Camelia S. Sima, MD, MS; Katherine S. Panageas, DrPH; Deborah Schrag, MD, MPH

JAMA. 2010;304(14):1584-1591. doi:10.1001/jama.2010.1449


対照群と比較して、進行癌フォロー中の女性において、
・少なくとも1回のマンモグラフィー施行 8.9%(95%信頼区間「CI]、8.6%-9.1%) vs 22.0%(95% CI、21.7%-22.5%)
・パパニコロウ検診 5.8% (95% CI, 5.6%-6.1%) vs 12.5% (95% CI, 12.2%-12.8%)


男性では
・PSAテスト 15.0% (95% CI, 14.7%-15.3%) vs 27.2% (95% CI, 26.8%-27.6%)

対照群比較の進行癌フォロー中全患者では
・下部消化器内視鏡 1.7% (95% CI, 1.6%-1.8%) vs 4.7% (95% CI, 4.6%-4.9%)

検診はスクリーニングを最近行ったひとで多く行われる
・マンモグラフィー16.2% [95% CI, 15.4%-16.9%]
・パパニコロウ検診 14.7% [95% CI, 13.7%-15.6%]
・PSAテスト 23.3% [95% CI, 22.6%-24.0%]
・下部消化管内視鏡 6.1% [95% CI, 5.2%-7.0%]


がん患者のがん検診は、個人の治療経過や予後により、その意義付けは異なるだろう。がん自体がその後のQOLに影響をあたえることがあるため、がん検診の意義も完全には否定できないだろうが・・・日本の場合は、議論さえ行われてないと思われる・・・進行期がん患者の検診の意義

by internalmedicine | 2010-10-13 09:09 | がん

 

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