COPDと微量アルブミン尿の関係:低酸素血症が介在する

結論は、微量アルブミン尿がCOPD患者で多く、低酸素血症がその要素として浮かび上がるというもの。

Microalbuminuria and Hypoxemia in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 182. pp. 1004-1010, (2010)


微量アルブミン尿(Microalbuminuria (MAB))は、対照喫煙者より、COPD患者で多い (8 [5th–95th percentile (P5–95), 2.9–113] vs. 4.2 [P5–95, 1.8–22.7] mg/g, P < 0.001])

標準的病的閾値を用いた後でもその差は存在 (MAB, 30–299 mg/g(女性)、 20–299 mg/g(男性); 24%( COPD) vs. 6% (対照喫煙) ; P = 0.005)

COPD患者で、PaO2とMABの負の相関が見られた (r = –0.40, P < 0.001)

多変量解析にて、MABはPaO2と相関(相対リスク, 0.934; 95%信頼区間, 0.880–0.992; P < 0.001) 、収縮期血圧と相関 (相対リスク, 1.034; 95%信頼区間l, 1.011–1.057; P = 0.003)


微量アルブミン尿はCOPD患者で多く、低酸素がそのリスク要素として独立して関連する。
COPD患者の心血管予測バイオマーカーとして簡単な指標となるか、さらなる検討が必要。



微量アルブミン尿は動脈硬化と関連ある検査異常であり、COPD患者の動脈硬化性病態との関連が黒幕として浮かび上がる。

長時間酸素療法(自宅酸素療法)の根拠となった、Nocturnal Oxygen Therapy Trial (NOTT) やBritish Medical Research Council (MRC) をもう一回見直してみた方が良いのかもしれない。

(http://www.nlhep.org/resources/Prescrb-Hm-Oxygen/Introduction-2.html)

COPD患者の死因は、必ずしも、COPD急性増悪ではない(途上国のCOPD患者死因 2009-08-08 )。
”(死亡)直前診断名と、基礎疾患の 認識の違いが、死亡原因コードの記載に影響を与え、コード化された原因関連バイアスや、死亡と診断のタイミングなど相違が影響を与えている可能性”もある。

翻って、日本の循環器系のお偉いさんたちが無視したがる夜間低酸素血症も、微量アルブミン尿と関連するのでは?

by internalmedicine | 2010-10-15 11:43 | 呼吸器系  

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