EBM重視と言いながらクロルタリドンよりHCTZ利用・・・答えは、みんなが処方するから・・・・

高血圧治療において、合剤出現のためHCTZ以外の降圧利尿剤使用がなかなか難しくなった。降圧に関して、chlorthalidoneやや優位の報告があるにかかわらず、そのことが議論されることはほとんど無い。

そして、日本では、クロルタリドン(英:Chlorthalidone)は以前販売されていたが、現在は入手不能の状況となっている。行政とそれをアドバイスするべき医療系の権威者たちの無能さにより有益な薬剤が日本で利用できない状況になっているのである。

Hydrochlorothiazide Versus Chlorthalidone in the Management of Hypertension
Cardiology in Review:January/February 2010 - Volume 18 - Issue 1 - pp 51-56 doi: 10.1097/CRD.0b013e3181c61b52

サイアザイド系利尿剤は、高血圧のmainstayである(日本以外では・・・)。臨床利用できるサイアザイドも種類があるが、hydrochlorothiazide (HCTZ) が高血圧治療で最も多く使われている。
いくつかの臨床トライアルで、高血圧管理におけるchlorthalidone使用された臨床トライアルでそのベネフィットが記載されている。降圧という意味ではHCTZもchlorthalidoneも非常に有効である。

Head-to-head 研究では、HCTZよりchlorthalidoneの方が有効であることが示されているが、統計学的有意差は一致して示されてない。

この2剤の、臨床的高血圧合併症、すなわち、心血管合併・死亡率に対する相対的ベネフィットは不明

HCTZ比較のchlorthalidoneのベネフィットを示す臨床的データが集められているが、これらのトライアルは直接比較でなく、2つのサイアザイドのどちらが有効かのdebateの材料に乏しい。

安全性からは、低カリウム血症はがサイアザイド系利尿剤のリスクで、用量依存的である。

しかし、同等比較用量において、、chlorthalidoneとHCTZの頻度は同程度のようである。

現行エビデンスにおいて、高血圧治療に対し、HCTZもchlorthalidoneも安全で有効な薬剤であろうと想定できる。

高血圧治療有効性、臨床的アウトカムデータという意味で、両者とも有効性はあるが、結果は決定的なものでなく、chlorthalidoneが好ましいから、全面的にこれに移るというには、まだ十分な状況・報告がない。故に、多くの処方医がHCTZを行っているという安心感のためだけにHCTZに偏っている

hardな臨床的アウトカムに基づく、がちんこ比較研究のみがこのdebateを解決する唯一の方法である。




降圧治療: HCTZ ≠ chlorthalidone・indapamide ・・・ HCTZを第一選択にするな! 2009-06-16 15:27


ALLHAT研究後、降圧利尿剤に処方を変更しようとしたが、HCTZでさえ、探すのに一苦労した。
比較的循環器系の医師の多い県だと思うのだが、高血圧治療薬選択には、そのスペシャリティーが反映されてないようだ・・・。

by internalmedicine | 2010-11-13 08:49 | 動脈硬化/循環器  

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