ACE阻害剤+ARB併用:癌リスク増加の可能性

ARBsによるリスク増加が報告されたため、降圧剤による癌リスクが俎上に上がっている。

従来の直接比較メタアナリシス、多層比較(ネットワーク)メタアナリシス、トライアル連続分析を取り扱い
ARBs、ACEi、ベータ遮断剤、CCB、利尿剤などを最低1年フォローしたものを対象

meta-analyses、 multiple comparisons (network) meta-analyses、 trial sequential analyses
Antihypertensive drugs and risk of cancer: network meta-analyses and trial sequential analyses of 324 168 participants from randomised trials
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 30 November 2010
doi:10.1016/S1470-2045(10)70260-6


プライマリアウトカムは、癌、癌関連死

70のRCT(148の比較群)、324168名の参加者

ネットワークメタアナリシス(fixed-effect model)において、ARBと癌のリスク差認めず (proportion with cancer 2·04%; odds ratio 1·01, 95% CI 0·93—1·09)、 ACEi (2·03%; 1·00, 0·92—1·09)、 β blockers (1·97%; 0·97, 0·88—1·07), CCBs (2·11%; 1·05, 0·96—1·13)、利尿剤 (2·02%; 1·00, 0·90—1·11)、ほかの対照 (1·95%, 0·97, 0·74—1·24)  vs プラセボ  (2·02%)

ACEi+ARBsの組み合わせでリスク増加 (2·30%, 1·14, 1·02—1·28); しかし、このリスクは random-effects model では明らかでなかった (odds ratio 1·15, 95% CI 0·92—1·38)

癌関連死亡率に関して、 ARBs (death rate 1·33%; odds ratio 1·00, 95% CI 0·87—1·15)、 ACEi (1·25%; 0·95, 0·81—1·10)、 β blockers (1·23%; 0·93, 0·80—1·08)、 CCBs (1·27%; 0·96, 0·82—1·11)、利尿剤 (1·30%; 0·98, 0·84—1·13)、他対照 (1·43%; 1·08, 0·78—1·46)、 ACEi + ARBs (1·45%; 1·10, 0·90—1·32)

メタアナリシス直接比較にて、全降圧剤クラスにおいて同様の結果だったが、例外はACEi+ARB併用両方における癌リスク増加(OR 1·14, 95% CI 1·04—1·24; p=0·004) で、 CCBs (1·06, 1·01—1·12; p=0·02)も癌リスク増加と関連。

しかし、癌関連死亡において有意差認めず

trial sequential analysisに基づく検討では、どのクラスの降圧剤も癌・癌関連死亡の相対リスク5-10%増加させるエビデンスは見いだせなかった。
しかし、ACEi+ARBの組み合わせは、 cumulative Z curveは横断的に連続モニタリング境界であり、少なくとも10%の相対リスク増加を示唆する




この併用療法、キマーゼの重要性とやらを主張して講演しまくってた人たちがいましたが・・・机上の空論の実践は危険性・有害性を含有することをわかってない人たち・・・この人たち、玉にでも、反省することってあるのかしら?・・・次のターゲットは・・・

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by internalmedicine | 2010-11-30 11:35 | 未分類  

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