肥満と理学所見

Reexamining the Physical Examination for Obese Patients
Ann Willman Silk, MD, MA; Kathleen M. McTigue, MD, MPH, MS
JAMA. Published online December 29, 2010. doi: 10.1001/jama.2010.1950

肥満管理に関するハンドブックは、どのような身体所見の検査をするかに比重は少なく、acanthosis nigricans やadiposis dolorosaなどの肥満関連疾患を検知することにのみ重点が置かれている。決定的にかけているのは、肥満および過剰脂肪により重大な身体所見が隠されていること。(最近の)技術的診断ツールにより、時折この限界を克服してくれるが、身体所見はやはり鑑別診断上重要。

肥満に関する疫学的注目にかかわらず、医学生や研修生にとって、肥満患者の理学所見とりに特化したフォーマルな指導がなされてないのが大多数。大動脈弁狭窄と肥大型非閉塞性心筋症の心音鑑別をスクワットや立位指示により行うと言った高度の知識とは別に、肥満における身体所見が低レベルの知識とされる悪しき傾向があると、著者ら。肥満の蔓延と医学教育における時間的ラグがある。

(話は、乳がんに関する身体所見にうつり)

肥満は乳がんのリスク要因である。しかし、肥満患者ほど定期的なマンモグラフィーやパパニコロー試験を受けることが少ない。この患者要素と理学所見上の発見困難さが肥満患者に関係する。BMIが大きいほど乳がん発見が遅れることの可能性があり、これがBMIと進行乳がんの関連性を説明となりえる。
肥満者でのマンモグラフィーのアドヘレンスの改善、臨床的理学所見の改善が乳がん早期発見に重要であるが、理学所見感度の向上するかは不明だが、特異的な技術(Barton MB, et. al. Does this patient have breast cancer? JAMA. 1999;282(13):1270–1280, pmid:10517431.Ferrante JM, et al. Family physicians' barriers to cancer screening in extremely obese patients. Obesity (Silver Spring). 2010;18(6):1153–1159, pmid:20019676.))により改善の報告がなされている。

(他臓器に話を広げている・・・)
他、心臓、腹部(Fink HA, et al. The accuracy of physical examination to detect abdominal aortic aneurysm. Arch Intern Med. 2000;160(6):833–836 Williams JW Jr., Simel DL. Does this patient have ascites? how to divine fluid in the abdomen. JAMA. 1992;267(19):2645–2648, pmid:1573754.)でも知見が得られている。
肥満患者での理学所見を特異化し検討するが重要。

by internalmedicine | 2010-12-30 08:29 | 糖尿病・肥満  

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