行き詰まりをみせる米国ナーシングホーム;施設閉鎖続く ・・・貧困地域が顕著

日本の居宅介護保険施設に相当するナーシングホーム

米国では約2%以上ナーシングホームの閉鎖が続いており、パフォーマンス不全の究極の指標でもある。市場圧力と規制はこの場合ランダムな分布となっておらず、別の要素がある特定の施設での閉鎖につながっている。地域的な要素もこれに関与している。
むしろ行政は、規制を強化することで、パフォーマンスの悪い施設閉鎖することにも恐れる傾向にある。一般的には、経済的な状況の悪さとパフォーマンスの質の悪さが原因というのがもっぱららしい。

1999年から2008年の間絵に、1776のナーシングホームが閉鎖した。一方病院施設は約半数の1226施設が閉鎖。あわせ、5%超ほどのベッドが無くなったことになる。閉鎖に関する相対リスクは、黒人・ヒスパニック系・貧困層の多い郵便番号地域であり、加重Gini指数は、大都市statistical areaの0.55で、郵便番号横断的には0.71である。地域的に都市部周辺のマイノリティーの多い地域に閉鎖が多く、貧困層濃厚地域のポケットとなるところである。

結論としては、ナーシングホーム閉鎖が多いのはマイノリティーが多く、貧困地域に集中しており、マイノリティー高齢者のナーシングホーム利用は増えているので、不均衡増加ということになる。


Medicare Expenditures Among Nursing Home Residents With Advanced Dementia
Keith S. Goldfeld; David G. Stevenson; Mary Beth Hamel; Susan L.
Mitchell
Arch Intern Med Published online January 10, 2011.
doi:10.1001/archinternmed.2010.478




現地リポートと称される米国訪問からの小レポートをみると、需要増加し、ボランティアが快活に関与し、日本の介護保険の理想みたいなイメージを持つかもしれないが・・・実態はかなりお寒い部分もある。

日本は 今、介護保険・医療保険同時改訂の作業中らしいが、利用者の質を評価する客観的調査なんてなされてないから、いつもの通りの、役人の机上の空論・財務省の圧力・御用メディアの世論操作で、またまた、実態と乖離した改訂がなされるのは必至。

北欧理想主義圧力はまだ保守的マスコミの脳には存在するようだが、他に米国理想主義というかなり現実離れした、目立てばいいというおばさんや自社のために変な世論誘導をcmで行う、変な経済主義者たちの意見が目立ってきている。特に後者の連中にだまされないよう、アメリカの現実を直視する必要がある。

by internalmedicine | 2011-01-11 08:17 | 医療一般

 

<< 米国医療:プライマリケア医と専... 世界の受動喫煙被害実態;死亡数... >>