肋軟骨炎を早期診断すれば急性胸痛による入院をへらせるか?

肋軟骨炎を早期診断すれば急性胸痛による入院をへらせるか?
Can Early Diagnosis and Management of Costochondritis Reduce Acute Chest Pain Admissions?
http://www.jrheum.com/~temp/abstracts/abstracts04/2269.html
Rheumatology
リウマチ医コンサルタント(reviewと表現)により肋軟骨炎を診断することで患者を同定。診断に要する時間とその影響を評価。
診断へ平均期間9.4ヶ月(0-57)。胸痛入院の総数はpost-reviewで39、post-reviewでは6
minor investigation総数はpre-reviewで139、post-reviewで17
major investigation総数はpre-で30、postで0
糖質ステロイド注射された13例全例が症状改善、再発症状11例中10例がsulfasalazineに反応

急性の胸痛、入院頻回で検査頻回の患者では肋軟骨炎ということがよくある。
この研究によりリウマチ学的なレビューにより入院、検査を有意に減らすことができた。リウマチ学的な介入によりどの程度減少したかは不明で、この研究の限界。
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Tietze病ってのは、狭心症の鑑別診断に必ず出てくるのですがわたしは見たことがありません。見逃してる可能性もありますし、意識せずに肋間神経痛などと言っている可能性があるんでしょう。

腫脹がない方がみのがしやすいので実際にはTietze症候群が鑑別にあがるのでしょうが、病変場所や年齢から言えば肋軟骨炎がまちがえやすいのでしょうか?

rheumatologyという雑誌からのため、結論が、専門医にコンサルトせよってことでしょうが、疑わなければコンサルトしようもないわけで・・・以下をご参考に

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Tietze's Syndromeと肋軟骨炎(ハリソンから)
Tietze症候群は、疼痛を伴う1つ以上の肋骨軟骨関節の腫脹によるものであり、40歳未満で多く、男女とも同等。多くの患者では1つの関節のみで、第2あるいは第3肋骨肋軟骨関節に生じやすい。前胸部痛の発症は突然もあるし緩徐なものもある。
痛みは腕、肩に放散する場合があり、くしゃみ、咳、深吸気、胸部のねじる動きで増悪。肋軟骨炎はしばしばTietze症候群と同義語的に使われることがあるが、厳格には、肋軟骨炎は腫脹を伴わない肋軟骨のの関節症の痛みであり、肋軟骨炎は40歳以上でもみられ、第3、4、5肋軟骨関節が冒される傾向。女性にしばしば多い。
両症候群とも心臓・上腹部疾患原因の痛みと類似する。リウマチ、強直性脊椎炎、Reiter症候群が肋軟骨関節まで冒されることがあるが、他の臨床状態で鑑別が容易である。
他の骨格筋由来の痛みは剣状突起痛や slipping rib syndrome、これは主に第10肋骨が冒される。乳ガン、前立腺癌、形質細胞腫、肉腫のような悪性疾患は肋骨、胸椎、胸壁を浸潤し、Tietze症候群のような症状がある場合がある。レントゲンや生検で鑑別しうる。


別の記載
http://www.emedicine.com/EMERG/topic116.htm
肋軟骨炎は、胸骨、鎖骨への付着している肋骨軟骨の炎症であるコモンな病態で、鎖骨両端の多発性の軟骨が冒される。原因不明。
肋軟骨炎とTietze症候群は別、前胸部の同じ領域の疾患。ただ肋軟骨炎は腫脹を伴わない、Tietzeは腫脹が特徴。前胸部上部肋軟骨の炎症である。

by internalmedicine | 2004-10-20 16:19 | 動脈硬化/循環器  

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