”医療費が高い病院ほど、入院死亡率は減少する”
2011年 02月 01日
Hospital Spending and Inpatient Mortality: Evidence From California: An Observational Study
John A. Romley, Anupam B. Jena, and Dana P. Goldman
Ann Intern Med February 1, 2011 154:160-167;
6つの入院時診断、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、卒中、消化管出血、股関節骨折、肺炎において、医療費の高い病院の入院患者では、リスク補正入院死亡率が低い
たとえば、1999-2003年で、カリフォルニアの病院での急性心筋梗塞入院患者は高医療費病院は低医療費病院より死亡率オッズ比は低い (odds ratio, 0.862 [95% CI, 0.742 to 0.983])
もし低医療費病院だけとなると、予測死亡数が1831名増加する。
入院医療費と入院死亡率は地域・病院サイズには影響されない。
政治家・厚労省・マスコミさん、国民が忘れていること・・・質の高い医療には金がかかるってこと。
世界でも突出した低コスト医療費の日本、それにもかかわらず、患者・家族のニーズは青天井・・・そういう矛盾が、医療の世界の多くの矛盾を生み出している。
皆保険制度を続けるなら、個々のコスト増大はやむなく、そのため、全体としての質の低下を甘受しなければならない。皆保険制度をやめるなら、フェールセーフ機能による制度は最小限のものとしなければならない。消費税上げは単なる対症療法に過ぎない。
本質的議論してない ・・・ この国! ”混合診療反対!”だけでは、もう限界!
ただ、物事を深く考えない、医療費削減至上主義の政治家、が、”医療費を下げろ”ってのたまう。それは、”入院中の患者の死亡率が上がってもかまわない”と言っていることとおなじだろう。背後の財界団体(e.g. オ■ックス、ト■タ、■■証券の方々)やその御用評論家たちの主張の本音と同じ。
バランスのとれた医療行政を構築するためには、バランスのとれた議論が必要なのに、保険者側はまるで経団連代表だし、利用者側代表はマスコミ代表・・・これじゃ、行政の中核でまともな議論ができるはずもない。
具体的事例としての腰痛・・・この診断ストラテジーに混乱が生じているので、なるべく整形外科の専門医にお願いしている。
American College of Physicians and American Pain Society guidelineによる腰痛に対する画像診断制限の妥当性
Clinical Guidelines: Diagnostic Imaging for Low Back Pain: Advice for High-Value Health Care From the American College of Physicians
Roger Chou, Amir Qaseem, Douglas K. Owens, Paul Shekelle, and for the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians
Ann Intern Med February 1, 2011 154:181-189;
量的価値、コスト意識下医療:医療介入のベネフィット、有害性、コスト評価における臨床医の概念
High-Value, Cost-Conscious Health Care: Concepts for Clinicians to Evaluate the Benefits, Harms, and Costs of Medical Interventions
Ann Int Med. Jan. 31, 2011 vol. 154 no. 3 174-180
by internalmedicine | 2011-02-01 08:40 | 医療一般