男性更年期障害:バランスを失った日本医師会雑誌の記載・・・生涯教育素材の価値無し

TOMトライアルというのは、”男性更年期”という診断のもと、ホルモン補充療法を行った結果、トライアル中断という結果となった(TOMトライアル 中断 : 高齢者低テストステロン群ホルモン補充療法は副事象イベント増大させた 2010/07/01)報告。

”男性更年期”に対する安易なホルモン補充療法は、安全性・有効性の確立した治療法とは言えないのだ。
他にも、男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大(2004/05/06 )など以前からリスクが多く語られている。また、診断定義にも疑問が呈されている、実に問題の多い”診断名“なのである。


今更ながらなのだが・・・・

特集 男性更年期障害の考え方と実地診療
日本医師会雑誌 2010年12月1日発行 第139巻・第9号


日本医師会雑誌に、こういう特集が組まれた。

一般医家の教育を目的とする雑誌に、疾患の存在自体に反論あるテーマを、反対意見を同時記載せず、掲載するとは・・・宗教教育のような雑誌になってしまった日本医師会雑誌。

特集あえてするとすれば・・・pro & con特集にすべきだ

たとえば、カナダの医学雑誌(http://www.cuaj.ca/CUAJ-JAUC/vol2-no1/12-point-counterpoint.pdf)では・・・

The use of hormonal therapy in “andropause”:
the pro side Alvaro Morales, MD

The use of hormonal therapy in “andropause”: the con side
Richard Casey, Bsc, MD, FRCS(C)

このように記載している。

上記カナダの医学雑誌の編集方針に対して、日本医師会雑誌の記載には、大いに疑問が残る。
一方的な意見だけを記載した、偏った編集内容の雑誌に、医師の生涯教育を、付託できるのだろうか?医師会自体の存在意義にも関連する重大事・・・日医医学雑誌編集委員は即刻辞任すべきだ。


(そんなものほんとにあるかしらないが)”男性更年期障害”普及協会の人たちは、メディアを利用し、強大な力をもっているようだ。

NHKの問題番組 ためしてガッテン・・・今度は”LOH症候群”・・・ - 2010/11/18



テストステロン・サプリメントによる腎障害・血圧悪化影響(動物実験モデル) 2007/08/09

内因性テストステロン値と認知機能:男性更年期という商売はなりたつのか? 2007-06-05

by internalmedicine | 2011-02-05 10:40 | 医学  

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