サルモネラによる食中毒
2011年 02月 15日
もう一つ言いたいことは、報道の自主規制がおきているということ。このため、公益性が著しく損なわれている。具体例として、根菜類や葉類やさいが食中毒の原因として生じることを一般国民が周知してない事態となっている。米国産カイワレ種子によるO157感染輸入の可能性も、一般には知らされないままである。
司法の偏った判断が、情報制限につながり、結局は、公益を損ねているとも考えられる。・・・この問題を早期に提起しておきたい。!
以下、本文・・・
昨日のニュースだが、”ジャガイモのみそ汁、大根のそぼろ煮、小松菜のサラダなど”が出された食品だそうだ。
小中学生920人超が食中毒か 岩見沢市、サルモネラ検出
北海道岩見沢市は14日、市内の小学校と中学校計9校の児童と生徒計925人が腹痛などの症状を訴え学校を欠席、うち7人が入院したと発表した。
道教育委員会などによると、症状の重い児童・生徒はいない。11日から腹痛や下痢を訴え、医療機関への受診が相次いでいた。入院者の便からサルモネラ菌が検出されており、市の共同調理所で作った給食が原因の集団食中毒とみられる。
調理所は2種類の給食を作っており、発症者が出た9校の約3100人は同じ献立を食べた。発症者が出る直前の10日は、ジャガイモのみそ汁、大根のそぼろ煮、小松菜のサラダなどが出されたという。
岩見沢保健所は14日午前、同調理所の立ち入り調査を開始、同じ給食を食べた9校を同日午後から休校とした。
2011/02/14 13:37 【共同通信】
ネットの反応は、”サルモネラ菌”が、”卵、またはその加工品、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)、うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子など。二次汚染による各種食品”といった、古い教科書から抜き出したような反応が多い。
米国の報告をみると、ここ数年、野菜類からの食中毒事例が目立つ。
危険な食品トップ10:葉物野菜、卵、マグロ、牡蠣、ジャガイモ、チーズ、アイスクリーム、トマト・・・2009-10-07
”葉物野菜、卵、マグロ、牡蠣、ジャガイモ、チーズ、アイスクリーム、トマト、もやし、ベリー”の順で、食中毒原因となっている。
アルファルファスプラウトの喫食に関連したSalmonella Saintpaul感染の集団発生、2009年-米国
(Vol. 30 p. 219: 2009年8月号)に関してほとんど報道されなかったと思う。アルファルファスプラウトの種子経由で感染したと思われ、野菜に関して、サルモネラ感染があることを改めて思い知らされた事例である。
サルモネラの米国アウトブレイク事例
http://www.cdc.gov/salmonella/outbreaks.html
これでみると、従来の卵、鶏関係、せいぜい 肉なんて考えは間違いだと分かると思う。
アルファルファが目立つが、トマト、生野菜、ピスタチオ、ピーナッツバター、ペットフーズなど多彩である。
"Salmonella enterica vegetables"で、pubmed検索すると、トマトなど様々な野菜へのコンタミネーションが報告されている。
サルモネラ菌はわざと自分の感染時間を稼ぐためタイトジャンクションを強化させるような物質を産生させる
サルモネラ:時間稼ぎのメカニズム:tight junction保護的働き:AvrA 2008-06-14
なぜ、日本では、野菜類とサルモネラの関係を示唆する米国で生じたアウトブレイク報道されないか・・・これは、かいわれ騒動・裁判の悪影響ではないかと・・・私は考えている。
・”「カイワレが原因食材である可能性が否定できない」とした中間報告の結論部分は、問題のない表現である。”
・最終報告書の公表の際に同席した専門家が、特定の生産施設(原告を指すことは容易に判明する)で生産されたカイワレが、原因食材である可能性は95%程度であると、ほぼ断定した判断を示したことは、相当でない。
・中間報告は、厚相が記者会見して積極的に公表しなければならない緊急性、必要性は認められず相当性を欠く。
断定されてしまったが、”滅菌状態”という矛盾を具有する”生産施設”を根拠に因果関係無しとした結論づけに私は疑問を持っている。この裁判の後、食品生産関係業者への過剰と思える匿名報道がなされてきている。鶏インフルエンザや口蹄疫などもupdateな情報が少なかった。
それにしても、当時の管厚生大臣の”底の浅い、正義面した、過剰対応”が、その後の食品衛生などに悪影響を与えていることは確かで、この人はリーダーどころか、政治家ととなるべき人ではなかった。
学校給食の食中毒、児童のきょうだい二次感染か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110302-00000308-yom-soci
読売新聞 3月2日(水)10時52分配信
北海道岩見沢市の学校給食による食中毒で、食中毒症状を訴えた児童らのきょうだいが二次感染した疑いのあることが2日、同市立総合病院の調査でわかった。
同病院には、食中毒症状がほぼ収まった先月25日以降、発症した小中学生のきょうだいの乳幼児3人が発熱や下痢など同じ症状を訴え、1人が入院した。同病院小児科の佐藤俊哉医師によると、同じトイレや風呂を使う家庭では二次感染が起こりうるという。
市教委によると、これまでの発症者は小学生1334人、中学生140人、教職員71人。岩見沢保健所は学校給食が原因と断定している。
最終更新:3月2日(水)10時52分 読売新聞
報道管制に近い状況のうちに、感染が広がっている・・・・
関連:2008年米国サルモネラ菌食中毒大流行は生野菜汚染によるもの 2011-02-24
by internalmedicine | 2011-02-15 10:28 | 感染症