正常範囲内血中ビリルビン値の高低、呼吸器系疾患、死亡率と相関

ビリルビンは細胞防御的に働く、動物モデルでは、環境的ストレッサーに対する防御効果が報告があった。

ビリルビンの抗酸化作用(Science 27 February 1987:Vol. 235. no. 4792, pp. 1043 - 1046)も以前から知られている。
また、apoptosisと細胞内メッセンジャーシステムの治療的意味(2006-01-04)にその細胞死やプログラム死に関する影響について触れられている。


こういう報告もあり、Horsfallらは、血中ビリルビン正常範囲内で、呼吸器系疾患リスクと全原因死亡率との関連を404206名の成人で長軸的に検討し、中等度だが、ビリルビンレベルと肺癌、COPD、全原因死亡率との相関を示した。


Serum Bilirubin and Risk of Respiratory Disease and Death
JAMA. 2011;305(7):691-697. doi: 10.1001/jama.2011.124

ビリルビン中央値は、男性で0.65 mg/dL (interquartile range, 0.47-0.88 mg/dL)、女性で 0.53 mg/dL (interquartile range, 0.41-0.70 mg/dL)

ケースとしては、肺癌 1341、COPD 3863、死亡 23103
頻度は1万人年で 2.5、11.9、42.5

肺癌1万人年、男性で 、最高位10分位 5.0 (95%信頼区間 [CI], 4.2-6.0) v 第5・10分位 3.0 (95% CI, 2.3-3.8)

COPDに関してはそれぞれ19.5 (95% CI,17.7-21.4) v 14.4 (95% CI, 12.7-16.2)

10万人年死亡率は、男性 51.3 (95% CI, 48.5-54.2) v 38.1 (95% CI, 35.5-40.8)、この関係は女性でも同様。

他重要健康指標補正後、回帰推定は、肺癌に関して ビリルビン 0.1 mg/dL毎 男性 8%減少 (95% CI, 5%-11%) 、女性 11% (95% CI, 7%-14%)減少。

COPDに関して、補正後 男性では 6% (95% CI, 5%-7%)減少 、死亡率に関しては 3% (95% CI, 2%-3%)減少、女性に関しても同様。




血中総ビリルビン高値:卒中予防的、卒中アウトカム改善の働き 2008-08-28

健康成人:ビリルビンは空腹時血糖、年齢、肥満、炎症、ヘモグロビン、鉄の状態と逆相関 2010-10-04

by internalmedicine | 2011-02-16 08:26 | 呼吸器系  

<< 経口非切開噴門形成術 Esop... 米国のマイノリティーへの差別示... >>