小児軽症持続喘息TREXA : ICS+β2アゴニスト併用吸入 悪化予防、身長抑制回避に有効で、第1選択!

軽症持続型喘息に対して、連日吸入ステロイドは有効だが、good day-to-day controlでも悪化を生じる患者が一方、無症状になると中断する人が多い。

この報告は、レスキュー使用としてのプロピオン酸ベクロメサゾン吸入の併用使用の効果を評価したもの。

結果は、5-18歳において、軽症持続型では、レスキュー使用としての吸入ステロイド+短期作用型β2刺激剤の併用治療が、再発予防に有効で、身長などへの副作用少なくなり、理想的な治療法ではないかという結論。

Martinez FD, et al "Use of beclomethasone dipropionate as rescue treatment for children with mild persistent asthma (TREXA): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial"
Lancet 2011; DOI: 10.1016/S0140-6736(10)62145-9.

【方法】44週、ランダム化二重盲検プラセボ対照化トライアルで、5-18歳の軽症持続型患者で、USAの臨床センター5カ所で行われたもの。コンピュータ補助ランダム化シークエンスで、臨床センター・年齢群層別化で、以下の4群割り付け
・1日2回の定期BDP使用 & BDP+albuterolのレスキュー使用(combined group)
・1日2回の定期BDP & プラセボ+albuterolのレスキュー使用 (daily beclomethasone group)
・1日2回のプラセボ使用 & BDP+albuterolのレスキュー使用 (rescue beclomethasone group)
・1日2回のプラセボ使用 &プラセボ+albuterolのレスキュー使用 (placebo group)


】ベクロメサゾン連日2回治療は、1パフのBDP(40 μg/パフ) v プラセボ 朝夕使用とした
レスキュー使用のベクロメサゾンは、2パフのBDP v プラセボ それぞれ アルブテロール(180μg)2パフを症状改善のため使用。


プライマリアウトカムは、経口ステロイド必要な初回急性増悪までの期間
セカンダリアウトカムは、線形成長率
intention to treat解析


【結果】 843名の子供・青年期をそれぞれ割り付け
・combined (n=71)
・daily beclomethasone (n=72)
・rescue beclomethasone (n=71)
・placebo (n=74)

事前クライテリアに従い run-in期間中に555名除外

プラセボ群 (49%, 95% CI 37—61)に比べ、daily群(28%, 18—40, p=0·03) 、combined群(31%, 21—43, p=0·07)、rescue群 (35%, 24—47, p=0·07) の悪化頻度は少なかった。

治療失敗比率はプラセボ 23% (95% CI 14—43)、combined群 5·6% (1·6—14) 、daily群 2·8% (0—10、(p=0·009)、rescue群 8·5% (2—15、(p=0·024)

プラセボ群に比べ、線形成長率は combined、daily群に比べ 1.1 cm(SD 0.39低い (p<0·0001)が、rescue群はそうではなかった (p=0·26)

2例のみ重度副事象イベント(daily BDP群でウィルス性髄膜炎、combined群で気管支炎のそれぞれ1例)

【結論】 軽症持続喘息小児は、albuterolをレスキュー単独治療として用いてはいけない。
悪化の最も有効な治療法は、連日吸入ステロイド投与である。
レスキュー使用のalbuterol単独使用より悪化を減少させるのに効果的なため、吸入ステロイドのalbuterolとの併用レスキュー使用は、well controlled軽症喘息の子供のstep-down strategyにとって有効と考えられる。
連日吸入ステロイド使用と関連副事象である成長抑制などは、これにより回避可能と考えられる。




小児・思春期に関して、喘息ガイドラインにかなり影響を与えそうな論文


いわゆる、SMART療法(e.gi. http://www.nationalasthma.org.au/images/stories/manage/pdf/symbicort_action_plan_eng.pdf)やAMD療法(Adjustable maintenance dosing with budesonide/formoterol )とは、β2アゴニストが持続型であることとは異なり、同じものではない。
しかし、吸入ステロイド+β2アゴニスト併用レスキュー使用が、シンビコート単独のお話ではないこと確かなようだ。

ただ、β2は当然short-actingな部分がなければならない。シンビコートにおけるフォルメテロール部分は安全性が担保されているのだろうか?持続性部分の特性が、長期的なアウトカムに悪影響与えなければよいのだが・・・

by internalmedicine | 2011-02-16 09:07 | 呼吸器系  

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