職場バーンアウト: allostatic load indexを利用して評価を! 短期ストレス実験とは違う!
2011年 02月 23日
慢性ストレス状況ではそんなに簡単ではない。allostatic load (AL)などを用いて、パターンの評価の上、強度評価が必要である。
Robert-Paul Juster, Shireen Sindi, Marie-France Marin, Andrea Perna, Alireza Hashemi, Jens C. Pruessner, Sonia J. Lupien. A clinical allostatic load index is associated with burnout symptoms and hypocortisolemic profiles in healthy workers. Psychoneuroendocrinology, 2010; DOI: 10.1016/j.psyneuen.2010.11.001
慢性ストレスは、バイオマーカー指数としてallostatic load (AL)を用いたときに多くの生物学的システムに緊張をもたらすストレスホルモンの原因となる。
AL frameworkが職場ストレス研究にうまく応用されているが、バーンアウト考察研究は少ない。バーンアウトは、ストレスホルモン値の増加鈍化が特徴の消耗状態である。
臨床の場で正規指標として用いられているAL indexは、高AL値指数は、慢性ストレス増加と相関し、バーンアウト症状、低活動性の周日・反応性ストレス度合いと関連するという仮説にもとづくものである。
15の神経内分泌、免疫、代謝、心血管バイオマーカーを、様々な職業の30名の健康被験者から採取、臨床規範としてのAL指数へ変換。
ストレス反応は Trier Social Stress Testによる反応 唾液中のコーチゾル・α-アミラーゼ値で評価。
周日コーチゾルは、2勤務日の5ポイント測定(awakening, 30 min after awakening, 14:00 h, 16:00 h, and before bedtime)
慢性ストレス、バーンアウト、うつに関するアンケート行い、AL高智は慢性ストレス増加、バーンアウト症状と相関したが、うつ症状とは関連しなかった。
低値群と比較し、AL高値群は朝の低値とストレス反応コーチゾル値が低下する。しかし、唾液腺αアミラーゼでは有意な影響は検知できなかった。
これらの知見は、バーンアウト研究に関して、心理的校正指標など、新しい臨床的AL指数の開発上役立つ・・・
慢性ストレス下にあり、バーンアウト気味の場合、生理学的dysregulation、すなわち、調整障害が生じ、ストレスホルモン低下となるはずである。コーチゾルはストレスホルモンであり、概日リズムを示す。コーチゾル値はうつ状態で増加し、バーンアウトのケースでは低下する。メンタルな身体的健康に関して、高値でも、低値でも問題と考えられる。慢性ストレスと血中コルチゾールのバランス喪失は、関連する生物学的機構へドミノ効果をもたらす。"allostatic load"という言葉は、生理的問題、糖尿病・心血管疾患、免疫系障害への'wear and tear' (消耗状態)を表す。インスリン、糖、コレステロール、血圧、炎症など様々な要素を観察することにより、allostatic load indexを事前予知に使われ始めた。このallostatic load modelの強度は、慢性ストレスにより影響を受ける多くの生物学的システムを含有する柔軟性を持つ。
唾液サンプル使用による代用、アンケート法による代用により、メタボリックシンドロームや心臓の問題などへの関連も言及でき、メンタルな問題へも応用される。
このパイロット研究では中年被験者で、血中測定値をallostatic loadとして、自宅唾液や検査室パラダイムで検討。現行のストレス状況と、うつ、バーンアウト症状の関連を検討。
そして、筆者らは、個別化治療開発への努力の一部であると述べている。
Neuropsychopharmacology (2000) 22 108-124.10.1038/sj.npp.1395453
Allostasis and Allostatic Load: Implications for Neuropsychopharmacology
allostatic load 4タイプ
The top panel illustrates the normal allostatic response, in which a response is initiated by a stressor, sustained for an appropriate interval, and then turned off.
The remaining panels illustrate four conditions that lead to allostatic load:
1) Repeated "hits" from multiple novel stressors; 新しいストレッサーにより次々ヒットを繰り返す反応
2) Lack of adaptation; 適応障害
3) Prolonged response due to delayed shut down; 遮断不能の遅延化による反応の遷延化
4) inadequate response that leads to compensatory hyperactivity of other mediators, e.g., inadequate secretion of glucocorticoid, resulting in increased levels of cytokines that are normally counter-regulated by glucocorticoids);他反応に及ぶ代償性過剰反応による不適切反応
Figure drawn by Dr. Firdaus Dhabhar, Rockefeller University. Reprinted from McEwen 1998, with permission
テレビ等で唾液腺アミラーゼなどで値が高いからストレスなどと解説するのを散見することがある。あの評価っていかがなのだろうか? "allostatic load"を無視した低レベル判断だと思うのだが・・・
by internalmedicine | 2011-02-23 08:02 | 精神・認知