イレッサ判決に関わる社説 ;自ら夢の新薬として煽った反省なし!

国と企業へのバランスのとててない不均等な裁判・・・というのが私の印象である。賠償認めないのなら両方に認めない方がわかる。そして賠償を認めるなら両者に・・・ってのが自然だと思ったのだが・・・司法判断てのは、裁判官が無能であるのは自明だから、サイコロと同じ・・・たまたまそういう事になったのだろう。空っぽの頭の中のサイコロが、”人民は弱し 官吏は強し・・・”を指し示したのだろう・・・

各社イレッサ訴訟に関する社説・・・ちょっとしたばらつきが見られる。

朝日新聞は、国・アストラゼネカの対応を批判し、日経新聞は医者を批判し、読売新聞は”夢の新薬登場”ともてはやされた当時の状況を踏まえた比較的バランスの良い内容となっている。

日経新聞はもともと狂ってることは確かなので批評に値しないが、ほかは、比較的落ち着いた判決解説であったことに、少々安心した。

たが、頭に来るのは、マスコミの反省の無さ!・・・これは変わってない!今後もこの調子で、自らは無反省のまま、天上人になったつもりで他を批判し続けるのだろう!

副作用が少ない 夢の新薬と 煽ってたのは ・・・どこのどいつらだよ!


Stage IIIB以上に進行した非肺小細胞癌に関する抗癌剤というのは、専門家であっても、躊躇するものである。マスコミが、”副作用が少ない、夢の新薬と煽り立てた”とき、製薬会社はまず販売前倒しを考え、世相もそれを喜んだ。

目の前に、肺癌患者がいたとき、当時だったらどうしただろか?また、患者側だったらどうだっただろうか?

間違いなく、”夢の新薬”登場に飛びついただろう。

そういう事情に思いを馳せる想像力もない、バカどもの集まりである。新聞社の主筆さんたち


日経さん・・・朝日・毎日・読売などとともに、煽り立てた仲間だろうが・・・

新聞各位が当時重篤な間質性肺炎の存在が自明のものだったと主張するなら、その責任は自らにも及ぶはずなのに、自分たちはしらんぷり ・・・ そんなやつら!


朝日新聞:http://www.asahi.com/paper/editorial20110226.html?ref=any#Edit2
イレッサ判決―情報はなぜ届かなかった

 肺がん治療薬イレッサの副作用被害をめぐる裁判で、大阪地裁は製薬企業に賠償を命じる判決を言い渡した。国については、副作用情報を明らかにするよう企業に一定の指導をしていたことなどを踏まえ、責任を否定した。

 同地裁は先月、和解を勧告し、原告と被告に話し合いを促していた。

 全体の解決を図る和解と、法律上の争いに黒白をつける判決とで裁判所のもの言いが異なるのは珍しくないが、そのとき示された所見には「国には救済を図る責任がある」とも書かれていた。患者らが落胆するのは無理はない。同種の訴訟は東京地裁でも審理されており、来月の判決に注目したい。

 多岐にわたる論点のなかで最も注目されたのは、薬には副作用が避けられないことを前提に、その危険情報をいかに適切に医療現場に伝えるか、という問題だった。

 イレッサの添付文書には当初、「重大な副作用」として四つの症状が記載された。「重度の下痢」が最初で、多数の死者を出した間質性肺炎は最後だった。企業と国は「順番は問題ではない」とし、被害を招いた責任は薬の特性を理解しないまま処方した医師にあるというような主張をしてきた。

 果たしてそうだろうか。

 死亡例が相次いだことを受けて、承認の3カ月後に緊急安全性情報が出た。添付文書の冒頭に「警告」として目立つ形で間質性肺炎の危険を書くと、被害は減った。

 文書のあり方が問われたのはこれが初めてではない。厚生省(当時)はイレッサ承認の5年前、重要事項を前の方に記載することなどを求めた局長通達を出している。企業はなぜこれを守らなかったのか。国も、なぜもう一歩踏み込んで、企業に働きかけなかったのか。釈然としない思いが残る。

 「読むのは専門家なのだから」という言い分もあるだろう。だが当時、医学雑誌などを通じて、イレッサには副作用が少ない良薬とのイメージが広がっていた。判決が「平均的な医師」像を前提に、治療に必要な情報の提供義務を企業に課したのは当然であり、国民の思いに沿うものといえよう。

 インフォームド・コンセント(説明と同意)という言葉は定着したが、それを実効あるものにするには、医師が正しい知識を持ったうえで、患者に正面から向き合うことが不可欠だ。

 わらにもすがる気持ちで新薬を待つ患者がいる。その期待に応えつつ、安全に万全を期す。二つの課題を両立させることの重要性を、イレッサ問題は改めて社会に示したといえよう。

 それはひとり製薬企業だけの責務ではない。法的責任は免れたとはいえ、判決で「必ずしも万全の対応であったとは言い難い」と指摘された厚生行政もまた、くむべき教訓は多い。



日経新聞:http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E6E2E5E2EBE4E2E0E4E2E0E0E2E3E38297EAE2E2E3?n_cid=DSANY001
イレッサ判決が求めるもの  2011/2/26付
 肺がん治療薬「イレッサ」の副作用被害を巡る訴訟で、大阪地裁は、販売開始から3カ月の間に投与を始めたケースに限って、製薬会社に損害賠償を命じた。

 この期間に薬に添付した「使用上の注意」の副作用を警告する記載が不十分で、その結果、当時のイレッサには製造物責任法上の「製造物の欠陥」が生じていた、との判断だ。

 一方で、国の賠償責任は認めず、イレッサの新薬承認審査に安全性軽視の違法があったとの原告側の主張を退けた。不十分な注意文書を改めさせなかった、規制権限の不行使は「必ずしも万全な対応とは言い難い」と批判しつつも、賠償責任を負う違法はなかったとした。

 権限の不行使は「著しく合理性を欠く場合」にのみ違法になるとする最高裁判例に、国は救われた格好だ。判決は、製薬会社と国には、新薬の副作用情報を十分かつ理解しやすく処方医、患者に伝える責務があると指摘したといえる。

 欧米で高い評価を得ていても国内承認が遅いため治療に使えない薬がある。「ドラッグラグ」と呼ばれる問題だ。イレッサは申請から5カ月の迅速な審査で世界に先駆けて国内で販売が承認され、遅れの解消につながると期待された。製薬産業と国は今回の判決を教訓にドラッグラグ解消の努力を続けてほしい。

 抗がん剤は強い副作用を伴うことが多い「両刃の剣」だ。しかし、他に治療法がない患者にとり、新薬は危険を承知の上の「頼みの綱」でもある。副作用の心配を明記し慎重な使用を促したうえ承認すればよい。市販後も追跡・監視し問題が生じたら敏速に対応することだ。

 イレッサは「夢の新薬」と承認前に報道され、使いやすい錠剤でもあるため、最初の3カ月で約7千人が服用し問題を大きくした。抗がん剤の専門知識に乏しい医師が処方した例もあったとされる。医師の不勉強があったのなら、それは問題だ。

 副作用被害の救済制度に抗がん剤を含める改正案が民主党内で検討されている。死因が病気か副作用か、判断が難しいとの慎重論はあるが、抗がん剤をまったく対象外にするのは不合理ではないか。医学に基づき適正な制度を検討してもらいたい。



読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110225-OYT1T01071.htm?from=any

イレッサ訴訟 副作用の警告を重んじた判決(2月26日付・読売社説)
 致死的な肺炎を起こす副作用の可能性を製薬会社は警告し、注意喚起を図るべきだった――。

 肺がんの治療薬「イレッサ」の副作用で死亡した患者の遺族らが損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は製薬会社「アストラゼネカ」に賠償を命じる判決を言い渡した。

 その一方で、イレッサを承認した国の対応については、「著しく不合理とは言えない」として賠償責任を否定した。

 副作用死が相次ぐことを予想するのは難しく、対応に著しい誤りはなかったとの判断からだ。

 大阪地裁は、1月に示した和解勧告の所見で、国にも被害者の救済責任があるとしていた。

 それだけに、原告にとっては、今回の判決に納得できない部分もあるだろう。

 世界に先駆けてイレッサが日本で承認された2002年当時、ア社は、副作用が少ないことをホームページなどで強調する一方、間質性肺炎を発症する危険性は公表していなかった。

 発売時の添付文書でも、間質性肺炎は「重大な副作用」欄の4番目に記載されているだけで、「致死的」という説明もなかった。

 判決は、「注意喚起が図られないまま販売されたイレッサには、製造物責任法上の欠陥があった」と断じている。

 イレッサは、医師や患者の間では、副作用の少ない「夢の新薬」との期待が広がっていた。

 判決が指摘するように、イレッサは化学療法の知識・経験が乏しい医師も使用する可能性があった。しかも患者が自宅で服用できる飲み薬のため、副作用への警戒が薄いまま広く用いられた。

 そうした状況であったのなら、ア社はなおさら、詳しい副作用情報を提供すべきだったろう。

 抗がん剤の多くは、副作用を伴う。製薬会社には、新薬の長所ばかりでなく、負の情報である副作用についても、医師や患者に十分に開示する責任がある。そう指摘した判決は、製薬業界への重い警鐘となろう。

 判決は国の対応に“お墨付き”を与えたものではない。副作用情報の記載に関する厚生労働省の行政指導については、「必ずしも万全な規制権限を行使したとは言い難い」と批判している。

 重い病と闘う患者は最先端の薬の登場を待ち望んでいる。

 安全性をおろそかにすることなく、いかに迅速な新薬承認を実現するか。イレッサの教訓を生かさなくてはならない。

(2011年2月26日01時27分 読売新聞)




”薬害”関連報道の後の診療、薬剤処方に関わる時間比率が増加する。
今日も、動脈硬化合併症ありのスタチン二次予防使用の患者さん、薬やめたいと言ってきた。やめることのリスクと薬剤副事象リスクを説明すると納得されてた。こういう人は良いのだが、人知れず薬剤を自己中断する人たちも多いのだろう・・・マスコミさんたちはそんなことは関係なく、犯人を仕立て上げ、悪口書いて、表層的共感をえて、新聞販売に役立ては良いとしか考えないのだろうが・・・




判決当時付、厚生労働大臣談話
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000013g5h-img/2r98520000013g6y.pdf
厚生労働大臣談話
本日、大阪地方裁判所において、イレッサ訴訟に関し、国勝訴の判決がありました。現時点では、判決の具体的内容を十分把握していませんが、国の主張が認められたものと考えています。去る1月28日に申し上げたとおり、国としては、今回の事案に学び、今最も必要なことは、医療・医薬品行政全体のさらなる向上であると考えています。がん難民といった問題が指摘されることのない社会を目指すべく、また、がんと闘う患者の方々の立場に立って施策を実施すべく、全力を挙げて取り組みます。
とりわけ、現実にイレッサを投与され、副作用により亡くなられた患者やご遺族の無念さを、どう受け止めるべきか。この課題に真摯に向き合い、医薬品による重大な副作用被害の発生をできる限り防止しつつ、患者の方々の理解を得ながら医薬品が使用されるようにすべく、来月から、厚生科学審議会の場で、薬事制度
の改正に向けた議論を進め、速やかな結論を目指します。
また同時に、インフォームド・コンセントの徹底など、がん医療体制の更なる整備を推進します。抗がん剤副作用死救済制度に関する検討も、本格化させます。
こうした政策課題への多岐に渡る取り組みについては、追って具体的に全体像をお示しいたします。
本日の判決を機に、国としては、全てのがん患者の方々のため、そして医療・医薬品行政全体の向上のため、こうした努力を重ねてゆくことを、あらためて国民の皆様にお約束いたします。

by internalmedicine | 2011-02-26 08:40 | がん  

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