鎮痛剤:効くと信じれば効果2倍、信じなければ効果減弱 脳の機序部位の相違認める
2011年 02月 28日
blockquote>The Effect of Treatment Expectation on Drug Efficacy: Imaging the Analgesic Benefit of the Opioid Remifentanil
Sci Transl Med 16 February 2011: Vol. 3, Issue 70, p. 70ra14
DOI: 10.1126/scitranslmed.3001244
ある薬剤を処方されたとき、患者の信念や期待が治療効果、副作用効果を先鋭化することがあるとことは、行動・自己報告データからのエビデンスである。
脳画像イメージも使い評価したところ、(肯定的・否定的な)相違する期待により、健康ボランティアに対して、オピオイドによる鎮痛効果に、違いが見られた。
一定の熱疼痛下でのμオピオイドアゴニストremifentanil の固定濃度による影響を、3つの実験状況下を個体内差研究にてデザイン
・鎮痛剤期待できない状況
・正の鎮痛効果作用予想状況
・疼痛悪化を予想する状況(疼痛悪化薬剤投与や疼痛増強を示唆)
fMRIを用いて脳の活動性記録、オピオイドの鎮痛作用期待効果をともに検査し、ニューロンメカニズムを明らかにしようとした。
促進するよう期待させた治療群ではremifenatanilの鎮痛効果をさらに促進(2倍)
逆に、負の治療効果期待ではremifenatnil鎮痛作用減弱
これらの主観的効果は、疼痛強度に 関連する脳領域のニューロン活動性に有意な変化を持続させた。
この正の期待効果は、内因性疼痛緩和システムの活動性と関係し、負の期待効果は、海馬の活動性と関連していた。
主観的・客観的エビデンスに基づき、薬剤への効果期待が治療効果に決定的に影響を与え、そして、脳の調節メカイズムがそれぞれに働くということを示した。
従来からなされていた鎮痛剤治療に、患者の薬剤への信念や期待を促進するよう働きかけることで治療アウトカムも変化する。
最近目立つ、ウェブで知った情報だけを信じて、目の前の医師を信用せず、あれこれ、薬に注文をつけてくる患者・・・この人達は、情報勝者を気取ってるが、実は、不幸な部分がある。科学性を装う疑似科学で妙に納得して、薬剤に関して最初からネガティブな部分でしかみない人たちは、薬剤の正の効果を受用できないでいる不幸な人たちでもある。また、テレビ等で、薬の副作用をあおる番組が目立った時期があるが、あれは、公衆衛生的には、かなりネガティブな影響を与えていることは確かである。
医療側としては、ネガティブなスタンスで受診する患者の場合、まずもって、医師・患者関係を確立することに専念しなければならないだろう。この医師の処方なら治るという信念まで植えつけ、副作用が少ないという信念がまでついてくれば、正の効果となってくる部分があるだろう。
まぁそのためには時間もかかるし、手間もかかるし、阻害要素として、周囲の人や詐欺師たちからの雑音なども存在する。
by internalmedicine | 2011-02-28 09:50 | 精神・認知