Boldtスキャンダル:コロイド・”コロイド v クリスタロイド論争

長年続く、外傷・救急患者への”コロイド(膠質) v クリスタロイド(晶質)論争” ・・・ 意外な幕引き?

晶質液Crystaloidと膠質液Colloidに分けられる。晶質液は血管壁を素通りし、間質に速やかに移動する。膠質液は大部分が血管内にとどまる。
参考:http://www.geocities.jp/chiba_anesth/manual/manualch22.html


米英の影響が強い日本では、HES製剤(ヘスパンダー、サリンヘス)使う機会ってほとんどないと思う。故に、日本での影響は少ないと思う。



Joachim Boldt, MD, PhD( ドイツのKlinikum der Stadt Ludwigshafen前勤務)の論文ねつ造判明で急展開へ

90近いBoldtの文献が撤回され、関連するガイドライン記述の訂正に各国追われている

大略・意訳

New Twist in Colloids-Crystalloids Tussle
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today Published: March 04, 2011
http://www.medpagetoday.com/Anesthesiology/Anesthesiology/25198
USではクリスタロイドが一般に好まれているが、医師たちはガイドラインに従いクリスタル、コロイド使い分けを行っていた。2004ATSガイドラインでは、重症患者に、副作用頻度高率故、HESのような合成コロイド使用に対して注意を唸がしていた。Boldt推進によるHES溶液はほとんどアメリカでは使用されなかった。すべての hydroxyethyl starchは共通の副作用をもつ。volume expanderとしては別のものを使った方が賢明だろうと、英米の医師たちは考えていたらしい。
ただ、ボストンのMGH心臓外科医師 Thoralf Sundt IIIは、ルーチンに、コロイドを使用していたようで、死亡リスク、合併症リスクを患者たちに与えたのではないかと動揺しているなど、影響もあるようだ。一般的にはコロイド使用は不評であった。



ロイター記事
Medical journals retract "unethical" research
http://www.reuters.com/article/2011/03/04/us-journals-retractions-idUSTRE7235J820110304



新聞記事なので、具体的な中身が今ひとつわかりにくい。そのうちにでるであろう学術誌での検討記事を待ちたい。

氏のcolloid記載・・・pubmed検索すると・・・http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Joachim%20Boldt%20colloid



by internalmedicine | 2011-03-05 08:47 | 集中・救急医療  

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