ROADMAP:オルメサルタンは微量アルブミン出現率低下・発症遷延化効果あり しかし・・・
2011年 03月 10日
オルメサルタンのメーカー(Daiichi Sankyo Inc.)は、どう説明するのだろうか?
ARBであるオルメサルタンは微量アルブミン発症率を減らし、発症を遅らせることができるということだけ伝えるとしたら・・・情報操作である。
言いわけを言いながらでも、副事象の方が多かった事実を伝えるべきであろう。・・・その方に私は関心が向く。
Olmesartan for the Delay or Prevention of Microalbuminuria in Type 2 Diabetes
N Engl J Med 2011; 364:907-917March 10, 2011
ランダム化二重盲検多施設対照化トライアル
2型糖尿病 4447名の登録 オルメサルタン(40mg/日) v プラセボ 観察期間3.2年中央値
130/80 mmHg未満維持のように追加(ACEやARBをのぞく薬剤)
目標血圧(<130/80 mmHb)到達率 オルメサルタン 80%、プラセボ 71%
オルメサルタン群が、プラセボ比較で、 血圧は 3.1/1.9 mmHg低下
微量アルブミン尿発症:オルメサルタン群 178/2160 v プラセボ群 210/2139
発症までの期間は、オルメサルタン群で23%延長(ハザード比, 0.77; 95% 信頼区間, 0.63 ~ 0.94; P=0.01)。血中クレアチニン倍加は両治療群とも1%。
48ヶ月フォローアップ中の2群の微量アルブミン尿出現
ここまでは良いのだが、
非致死的心血管イベントはオルメサルタン群で軽度減少(オルメサルタン群 81 / 2232 (3.6%) v 91 / 2215 (4.1%) (P=0.37) 。
しかし、非致死的心血管イベントは 15(0.7%) v 3(0.1%)(P=0.01)。
これは、プラセボ群よりオルメサルタン群では冠動脈疾患を有病率が高かったことがこの原因?
文中にも、介入群の方が非致死的心血管イベント発症率が多いことのいいわけだらけになってる。
あまりにきれいなデータが出てくるより、一部、セカンダリアウトカムに不都合なデータが紛れ込む方が健全なのかもしれない・・・そのように、論文解釈は変えていかなければならないのかもしれない。
そういう意味で勉強になった論文。
by internalmedicine | 2011-03-10 09:35 | 動脈硬化/循環器