重症でない小児肺炎でペニシリン系薬剤は3日でよい というのと小泉・ブッシュに対する愚痴
2004年 04月 02日
市場主義と医療・福祉というのは根本的には相容れないものとわたしなどは思っております。どうも日本医師会というのがイメージが悪いせいか、また、小泉の経済界べったりの施策が景気回復至上主義と合致したせいか、小泉サイドの戦略にうまくやられている気がします。広告主である経済界に背を向けることはできないマスメディアの情報の非対称性にまどわされているというわけです。
日本の低医療政策は数値上も実態がではじめ、現場の悲鳴があり、理解しようとする人々には小泉の低医療政策の問題点がかたられている(Google検索)のだが、一般の人には伝わってないのです。インターネットで情報をあつめている賢明な方々はこのことを気づきはじめているのではないかとおもうのです。
小泉はサッチャーイズムと同じ間違い()を犯しているのですが・・・
小泉の盟友であるブッシュは、自国の医薬品産業をまもるため、先進国のHIV感染者を救うはずの施策をぶち壊しにしようとしております。
英国医学雑誌
米国至上主義にとって、日本の利益と合致している部分・・輸出産業などはよろしいのでしょうが、そのほかの分野にとっては、ブッシュ政権・それに盲従する小泉は将来の日本にとってほんとによいのでしょうか?
小泉の好ましい部分もあると個人的にはおもっておりますが、医療施策に関してはサッチャーの失敗そのものです。
で、やっと本題ですが、子供の重症でない肺炎治療に関して、ペニシリン系の一番安い薬剤であるアモキシシリン3日で十分であるという検討結果が出ました。
ただし、よく読むと、重症でないことと、RSウィルスなどの感染症を否定し、また、効果のないことを否定するためにはマイコプラズマ肺炎などの否定が必要なわけですから、薬剤を2日間へらすことにどれほどの意味があるのか?よくわかりません。ペニシリン系の一番安い薬剤ですので、製薬会社自体も大して儲からないどころか、かえって売り損のようなやくざいですので・・・
また、RSウィルス・溶血連鎖球菌や一部マイコプラズマなど診断が最近は迅速診断が発展しておりまして、この検査をするだけで薬剤費をはるかにしのぐこととなります。
結論としては、重症でない肺炎ペニシリン系薬剤を処方するんだったら3日間で十分というだけの論文となるのでしょう。
“the ISCAP Study Groupが2188名の肺炎患児を対象にアモキシシリン投与5日間と3日間を比較”
Three day versus five day treatment with amoxicillin for non-severe pneumonia in young children: a multicentre randomised controlled trial
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;328/7443/791
BMJ 2004;328:791 (3 April)
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除外)
・重症:チアノーゼ・痙攣・飲水不能・覚醒困難・重症の栄養不良、喘鳴
・抗生剤必要な他の理由あり
Oral amoxicillin 31-54 mg/kg/day 分3
日本では20-40mg/kg/日 3-4回に分ける
3日vs5日
治癒率:89.5% vs 89.9%(絶対差 0.4(95%CI -2.1-3.0)
Adherence:94% vs 85%
フォローアップ不能5病日で5.4%、死亡無し、41の入院、36のマイナーな副作用
登録時513(23.4%)の子供がRSウィルスで陽性、鼻咽頭部で溶連菌、インフルエンザ菌が878(40.4%)、496(22.8%)で同定。
治療失敗は、RSウィルスの同定(オッズ比1.95 1.0-3.8)、呼吸回数過剰(>10/分 Odds 2.89(1.83-4.55))、治療のnon-adherence(オッズ比 11.57(7.4-18.0))
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by internalmedicine | 2004-04-02 10:22 | 呼吸器系