慢性腎臓病:血中リン濃度と心血管死亡率との関連

慢性腎臓病によるミネラルおよび骨疾患マネージメント臨床ガイドライン(http://www.kdigo.org/nephrology_guideline_database/index.php)では、血中リン、PTH、カルシウム目標値に対する特異的治療が推奨されている。

参考:KDOQI Clinical Practice Guidelines for Bone Metabolism and Disease in Chronic Kidney Disease

CKD患者の、血中P、PTH、カルシウム値と、死亡・心血管死亡率・非致死的心血管イベントのエビデンス

血中リン濃度と心血管死亡率との関連だけがあきらかに

Serum Levels of Phosphorus, Parathyroid Hormone, and Calcium and Risks of Death and Cardiovascular Disease in Individuals With Chronic Kidney Disease
A Systematic Review and Meta-analysis
2011;305(11):1119-1127. doi: 10.1001/jama.2011.308

死亡リスクは、血中リン 1-mg/dL増加後と18%増加(相対リスク [RR], 1.18 [95% 信頼区間 {CI}, 1.12-1.25])
全原因死亡率と血中PTHの有意な相関認めず (RR per 100-pg/mL increase, 1.01 [95% CI, 1.00-1.02]) 、他、血中カルシウム(RR per 1-mg/dL increase, 1.08 [95% CI, 1.00-1.16]).も同様

血中カルシウム、PTHと死亡・心血管イベントに関してはかなり強い、一定の独立した明らかな方向性は証明は困難。



4.1ステージ3、4の慢性腎臓病で、血清リンレベルが高値(>4.6mg/dL [1.49mmol/L])の場合(OPINION)と腎不全患者(ステージ5)で5.5mg/dL(1.78mmol/L)未満の場合(EVIDENCE)は、リン摂取量を800 - 1,000mg/日に制限しなければならない(たんぱく質必要量に応じて調節)。
4.2 インタクト副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone: PTH)の血漿中濃度が、慢性腎臓病のステージにおける目標の上限より高い場合には、リン摂取量を800 - 1,000mg/日に制限しなければならない(たんぱく質必要量に応じて調節)(ガイドライン1の表15参照: 原文のp.S53)。(EVIDENCE)
http://fosdu.nih.go.jp/files/contents/evidence/297/5b-J1-1_2008.pdf


参考:二次性副甲状腺機能亢進症の発生機序 

カルシウム・リン代謝異常
透析患者の血管石灰化は透析年数と明らかな相関がある。その要因として二次性副甲状腺機能亢進症や、高リン血症、さらにはカルシウム製剤などの薬剤服用の影響が考えられる。副甲状腺機能亢進症は心筋梗塞や心不全の病歴と相関しており、とくに高リン血症は透析患者における心血管系死亡リスクになることが明らかにされている。
血管などの異所性石灰化予防のあめのK/DOQIガイドラインでは透析患者の血中カルシウム・リン積は55未満にすることが推奨されている。2006年に出された日本透析医学会からの「二次性副甲状腺機能亢進症ガイドライン」のなかでは血清補正カルシウム値8.4~10.0mg/dl、リン値3.5~6.0mg/dlを治療目標に掲げている。
http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=JJCD&vol=24&no=9&d1=1&d2=2&d3=0

by internalmedicine | 2011-03-16 10:41 | 動脈硬化/循環器

 

<< 第28回日本医学会総会はネット... カリフォルニア内外の米国内の重... >>