やりなれない運動や性行為は、心臓発作や心発作リスクを増加させる・・・定期的な運動や性行為に努めよう

やりなれない運動や性行為をすると、心臓イベントや心臓死リスクを増やす。定期的運動や性行為がなされていればそれを減弱するという話。

Issa Dahabreh、 Jessica Paulus (Tufts Medical Center 、 Boston)の研究
Dahabreh IJ, Paulus JK
"Association of episodic physical and sexual activity with triggering of acute cardiac events: Systematic review and meta-analysis"
JAMA 2011; 305(12): 1225-1233.


”カウチ ポテト”って日本では使われなくなってきたが、要するに運動をいつもせずに時折突拍子に運動したり性的活動をするひとは、心発作、心臓突然死のリスク増加をもたらす。

エピソード的な運動や性活動と心臓発作と突発的心臓イベント死亡のリスクと関連を認め、特にエピソード後1-2時間内生じる。全体から見れば、定期的運動や性的活動性が、一過性となったり、あるいはほとんど行われないので、絶対的リスクは小さくなってしまう。定期的運動に不慣れな人たちには、リスクがかなりシャープで、定期的運動で運動後の死亡率の影響は薄れる。
寓話的な話だが、それを突き詰めることは安易ではない。症例交差デザインを用いた研究で、多くの交絡要素を除外する必要がある。
文献のシステマティック・レビューで、エピソード的運動や性行為、両者のエピソードに関わる14の研究の検討を行い、10の研究で心筋梗塞のプライマリアウトカム、3つで心臓突然死、急性冠症候群1つ

・エピソード的運動は、心臓発作リスクを3倍超と関連し、相対リスクは3.45(95%信頼区間 2.33-5.13)
・エピソード的性行為は、心臓発作 2.70(95%信頼区間 1.48-4.91)
・エピソード的性行為は、心臓発作リスク5倍に近く、 4.98(95%信頼区間 1.47-16.91)

このようなエピソードがトリガーとなる状況は、定期的な運動・性行為の場合は、その影響は無くなる。

習慣的運動が最小のサブグループでは、エピソード的運動によるリスクは、心筋梗塞で、4.47-107で、運動量が多い群では、そのリスクは 0.86-3.3で、リスクが減少している。

エピソード的運動による心筋梗塞相対リスクに関して、習慣的運動している人では週1回運動追加毎に45%ほどリスクが減少する。同様に心臓突然死に関して、週1回追加毎に30%ほど相対的リスク減少。

研究者は、身体運動、性的活動週毎の時間増加毎に、1万人年あたり2-3の心筋梗塞絶対リスクと推定。また、心臓死は1万人年あたり1となる。


Dahabreh と Paulusは、デザイン・プロトコール毎の差があることに注意しろと述べ、また、 身体運動・性的活動のネットの有害性を示唆すると解釈するなと説明(要するに、運動や性行為そのものが心臓イベント死亡リスクを増加するという解釈はするなということだろう)し、一時的な短期的な身体運動・性的活動は、急性心筋梗塞リスク増加と関連するということのみを強調したいようだ。

参考:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/MyocardialInfarction/25484

by internalmedicine | 2011-03-23 11:55 | 動脈硬化/循環器  

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