高齢者住民:音楽ベースの多動運動訓練による運動機能・転倒リスク改善効果

被災地の方々のエコノミークラス症候群リスク報道をみるにつけ、避難場所の都合か臥床状態の高齢者をよく見る。血栓塞栓にも当然悪いし、歩行、平衡機能など運動機能の脆弱化・低下をもたらすのではないかと思う。あの方々に、地域でやられているであろう民謡に基づく踊り、季節は違うか盆踊りとか、みんなでやってみたらどうだろう・・・と下記報告をみてそう思った。住民の一体感づくりや、メンタル面でも+になると思うのだが・・・

投稿ボタンをクリックする時に、”音楽ベースのマルチタスク運動プログラムは歩行やバランス改善し転倒リスクを減少させる 2010年 11月 23日”と同じと気づいた・・・でも、まぁおもしろい報告なので・・・


健脚こそ、長寿の秘訣であろう。
e.g.) 高齢者歩行速度は予後推定因子である 2011/01/05

慢性骨格筋痛のため動きたがらない、動きたがらないため転倒リスク増加するという現象も生じる。
e.g.)高齢者転倒:慢性筋骨格筋痛との関連 2009/11/2

だが、臨床整形外科学会がやろうとしてることは、かえって、転倒リスクを増やすことになりかねないし、本格的対照化臨床トライアルも行われているとは聞かない。
e.g.) ロコモと脅すだけなら転倒リスクが増える?:転倒リスク自覚増加ほど転倒増加 2010/09/29

一方、日本では、全国各地、盆踊りなど踊りの週間がある。また、最近はフラダンスなども流行ってると聞く。こういうものが苦手な人も多いのも事実だが、できれば、多くの人が、踊りでなくても、気軽に音楽を利用した運動が行えれば、転倒リスク減少し、本人及び社会的コスト軽減にもつながるのかもしれない。

Effect of Music-Based Multitask Training on Gait, Balance, and Fall Risk in Elderly People
A Randomized Controlled Trial
Andrea Trombetti, MD; Mélany Hars, PhD; François R. Herrmann, MD, MPH; Reto W. Kressig, MD; Serge Ferrari, MD; René Rizzoli, MD
Arch Intern Med. 2011;171(6):525-533. doi:10.1001/archinternmed.2010.446

NCT01107288
【背景】 歩行もしくは複数行為のときに、主に、転倒が起きやすい。音楽ベースのマルチタスク運動プログラムで、歩行・バランス改善し、転倒リスク減少するかどうか?

【方法】 12ヶ月ランダム化対照トライアル、65歳超住民134名、転倒リスクの高い人を被験者。ランダムに介入群(n=66)と、6ヶ月後スタートの対照群(n=68)
介入は6ヶ月マルチタスクプログラムで、ピアノ音楽のリズムで行うもの
2つのタスク状況での歩行に関わる、ベースラインから6ヶ月後の変数の変化をプライマリエンドポイントとし、セカンダリアウトカムはバランス、機能的パフォーマンス、転倒リスク

【結果】 6ヶ月時点で、2重タスク状況下で、介入群が、対照群に比べ、ストライド幅変動の減少 (adjusted mean difference, –1.4%; P < .002)
バランス・機能テストは、対照群と比べ改善。
介入群で転倒数減少(incidence rate ratio, 0.46; 95%信頼区間, 0.27-0.79)、転倒リスク減少 (relative risk, 0.61; 95% 信頼区間, 0.39-0.96)

遅延開始後の対照群でも同様の変化を6ヶ月後遅れで認め、介入の歩行関連指数の改善ベネフィットは6ヶ月間持続した。

【結論】 転倒リスクの高い地域住民高齢者では、6ヶ月の音楽ベースのマルチタスク運動プログラムは、2重タスク状況下の歩行改善、バランス化以前、転倒率、転倒リスクともに減少させた。

by internalmedicine | 2011-03-29 08:46 | 運動系  

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