入院高齢者転倒予防教育:スタッフメンバー介入があってこその効果+Health Belief Model
2011年 03月 29日
3群ランダム化トライアル
・multimedia patient education program based on the health-belief model combined with trained health professional follow-up (complete program):"health-belief"モデルに基づくマルチメディア患者教育+訓練された医療スタッフフォローアップ
・multi-media patient education materials alone (materials only):マルチメディア教育素材のみ
・ usual care (control)
被験者:高齢入院患者1206名;急性(整形外科、呼吸器、内科)病棟、亜急性期(高齢、神経リハビリテーション)病棟で2008年1月から2009年4月まで
・1000人日あたりの転倒は群間差無し (control, 9.27; materials only, 8.61; and complete program, 7.63)
・しかし、介入群、認知機能存在群での有意差あり
・プログラム完遂群患者における転倒は、認知機能正常患者内では少なく(1000人日あたり 4.01)、マテリアルのみ群では8.18、対照群で8.72 (プログラム完遂群における、マテリアル群比較は、補正ハザード比, 0.51; 95% 信頼区間, 0.28-0.93]、対照群比較は、0.43; 95% 信頼区間, 0.24-0.78)
Patient Education to Prevent Falls Among Older Hospital Inpatients: A Randomized Controlled Trial
Terry P. Haines; Anne-Marie Hill; Keith D. Hill; Steven McPhail; David Oliver; Sandra Brauer; Tammy Hoffmann; Christopher Beer
Arch Intern Med. 2011;171(6):516-524. Published online November 22, 2010 (doi:10.1001/archinternmed.2010.444).
トライアル詳細:anzctr.org.au Identifier: ACTRN12608000015347
ちょっと、Health Belief Model (HBM)のお勉強
参照:http://std.about.com/od/education/a/healthbelief.htm
The Health Belief Model (HBM)は、健康行動を説明予測しようという試みの心理学モデルで、個々の態度や信念に注目されたもので、1950年代社会心理学者 Hochbaum、 Rosenstock、 KegelsがUS公衆衛生における仕事で開発したもの。このモデルは結核対策失敗に基づき行われたもので、これ以来、長期、短期の医療行動に関する様々な検討が行われ、HIV/AIDS感染予防やリスク軽減なども対象となっている。
各個人の受容度、重症度、信念・考え、努力・コスト・社会的バリアの自己認識問題がある。
・Perceived Susceptibility: リスク状態であることを知らなければ、健康的行動をとらない(HIVリスクがあるとしらなければ呼ぼう処置は行おうとしない)
・Perceived Severity: どの程度重大なことか、または、今後起きうる事態に関して予防方法を知ることで行動も変わる(たとえば風邪をひいたときに、移さないよう恋人にキスすることを避けるとか、くしゃみを吹きかけないようにするとか、さすがにエボラとなったときキスはやめようとか・・)
・Perceived Benefits: 自分たちのためにならないなら行動を変化させない(喫煙で寿命が短くなると考えないなら、あなたの父親が喫煙をやめないだろう)
・Perceived Barriers: 行うことが困難なら行動を変えようとしない。心理的困難だけでなく、社会的困難さも時に関係する。(何事にも、努力、金、時間が必要)
Cues to action(アクションのための合図):外部イベント 、たとえば、健康イベントの血圧測定、コンドーム使用啓発ポスター、癌対策啓発など
しかし、自己認識(Self efficacy)の問題が一番ということを認識すべきである
by internalmedicine | 2011-03-29 09:37 | 運動系