高用量リピトール:2型糖尿病新規発症リスク増加とその予測因子
2011年 03月 29日
他のスタチンとの比較でも、シンバスタチンに比べればリスク増加の可能性が高いということで、今後、スタチンとして他薬剤に変更する価値があるかどうか問題になるが、まぁ日本では、リピトール80mg/日使用は限られているので・・・臨床実地上の影響は少ないだろう。
ただ、40mg/日以下のリピトール使用でもリスクがあるのか?情報を探る必要があろう。
特に、リスクとして上がった空腹時血糖とメタボリックシンドローム要素に問題がある症例の場合・・・
Predictors of New-Onset Diabetes in Patients Treated With Atorvastatin: Results From 3 Large Randomized Clinical Trials
David D. Waters, Jennifer E. Ho, David A. DeMicco, Andrei Breazna, Benoit J. Arsenault, Chuan-Chuan Wun, John J. Kastelein, Helen Colhoun, and Philip Barter
J Am Coll Cardiol 2011 57: 1535-1545.
目的: アトルバスタチンの3つの大規模ランダム化トライアルにおける新規発症2型糖尿病(T2DM)の頻度と臨床的予測調査
背景: スタチン治療は軽度新規発症T2DMリスク増加の可能性がある
方法: 糖尿病の標準的定義、ベースラインでの糖尿病除外。新規発症T2DM予測因子を同定し、新規発症T2DM患者のイベント率を比較する。
結果: 新規T2DM発症比較
・ TNT (Treating to New Targets)トライアルで、80mg/日割り付け 351 / 3,798 、10mg/日割り付け (9.24% vs. 8.11%, 補正ハザード比 [HR]: 1.10, 95% 信頼区間 [CI]: 0.94 ~ 1.29, p = 0.226)
・ IDEAL (Incremental Decrease in End Points Through Aggressive Lipid Lowering) トライアルでは、80mg/日割り付け 239 / 3,737、シンバスタチン20mg/日割り付け208 / 3,724 (6.40% vs. 5.59%, 補正 HR: 1.19, 95% CI: 0.98 ~ 1.43, p = 0.072)
・SPARCL (Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels) トライアルでは、80mg/日 166 / 1,905 、プラセボ群 115 /1,898 (8.71% vs. 6.06%, adjusted HR: 1.37, 95% CI: 1.08 ~ 1.75, p = 0.011)
3つのトライアルどれもベースライン空腹時血糖、BMI、高血圧、空腹時TGが独立した新規2型糖尿病発症予測因子となった。
3つのトライアルを通して、主要血管疾患イベントは、新規発症糖尿病あり群で11.3%、なし群で10.8%(補正 HR: 1.02, 95% CI: 0.77 ~ 1.35, p = 0.69)
結論: SPARCLトライアルにおいて、高用量アトルバスタチン治療はプラセボに比べ新規T2DM発症リスクを軽度増加させた。ベースライン血糖、メタボリックシンドローム特性が新規T2DM予測として、3つのトライアル胸痛の因子として確認された。
by internalmedicine | 2011-03-29 10:14 | 動脈硬化/循環器