左脚ブロック時急性心筋梗塞診断クライテリア・・・言われてるほど役には立たず

急性心筋梗塞を肯定あるいは否定したい場合の、左脚ブロック診断 ・・・ 心電図での診断はSgarbossaスコアがおなじみ
Electrocardiographic Diagnosis of Evolving Acute Myocardial Infarction in the Presence of Left Bundle-Branch Block
N Engl J Med 1996; 334:481-487February 22, 1996
1)ST-segment elevation of 1 mm or more that was concordant with (in the same direction as) the QRS complex: QRSと一致する極性の方向でST1mm以上上昇
2)ST-segment depression of 1 mm or more in lead V1, V2, or V3:V1、V2、V3の1mm以上のST低下
3) ST-segment elevation of 5 mm or more that was discordant with (in the opposite direction from) the QRS complex:QRSと一致しない極性の方向での5mm以上のST上昇


でも、これの典型的事例 みたこともないわ・・・というのも、以下の報告を観れば当然なのかもしれない。


やっぱり、左脚ブロックを呈する場合の、急性心筋梗塞診断・・・むずかしい

Utility of Left Bundle Branch Block as a Diagnostic Criterion for Acute Myocardial Infarction
American Journal of Cardiology
Volume 107, Issue 8 , Pages 1111-1116, 15 April 2011


” Mayo Clinic's ST-segment elevation myocardial infarction network”(2004-2009年)からの後顧的解析では892名中36(4%)が新規 左脚ブロック(LBBB)であった
急性心筋梗塞(AMI)を疑う新規LBBB患者の頻度、臨床的特性、血中トロポニン濃度、冠動脈造影所見、アウトカムを検討。
LBBBなし患者似比べ、新規LBBBは高齢 (64.5 vs 72.9 years, p <0.001)、血栓治療必要度( Thrombolysis In Myocardial Infarction (TIMI) risk scores)が高い(22.7 vs 31.0, p <0.005)。そして、 door-to-balloon timesが長い。

急性冠症候群最終診断14名(39%)のうち、12名がAMIで、13(36%)が急性冠症候群以外の心疾患診断、非心疾患診断9(25%)

AMI患者のうち、5名で責任血管閉塞し、2名が左前下行枝。

Sgarbossa score ≥5 は、AMI診断の感度が低い(14%)、しかし、特異度は100%



結論としては、急性心筋梗塞が疑われる新規発症左脚ブロックの場合、高リスク群であるが、急性心筋梗塞の症例自体は少ない。3分の2が他の診断名で退院している。
Sgarbossaクライテリアは利用上はかなり限定的である。

by internalmedicine | 2011-04-02 09:05 | 動脈硬化/循環器  

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