肝細胞がん手術アジュバント治療としてのサリドマイド

日本では、”薬害”にとってのシンボリックな薬剤、サリドマイドだが、European Medicines Agency (EMA) や 米国Food and Drug Administration (FDA) では、多発性骨髄腫治療薬として承認されている(と、プレス報告に書かれているが、ご承知のように日本でも、使用適正化ガイドラインのもと、使用可能である)。

そんな中、肝細胞がんのアジュバントとして有効という報告があったようだ。
International Liver CongressTM 2011(EASL プレスリリース): http://www.easl.eu/_newsroom/press-release/thalidomide-shows-efficacy-as-adjuvant-therapy-for-hepatocellular-carcinoma-patients

2年生存率を65% v 33%と倍にするという報告。
しかし、2年の包括生存率では83.4%と85.7%と差がなかった。なぜ、こういう結果差がでたかというと、治癒切除例でアジュバント治療しなかったからというもの。

だれもが納得する結果ではなさそうだが、耐用性十分なら使用考慮に値するのかもしれない。ただ、薬害団体からの圧力もあり・・・日本では導入に困難さが予想される。


最新のup-to-date Cochrane Review of adjuvant therapies for HCC (conducted prior to this thalidomide study) でも、アジュバント治療の生存率増加や無疾患生存期間延長のエビデンス不十分となっている。42例程度の二重盲検対照化ランダム化比較pIIで耐用性は十分であった。

by internalmedicine | 2011-04-03 11:33 | 消化器  

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