グルコサミン、コンドロイチンは股・膝関節痛へ臨床効果ありません
2011年 04月 04日
科学的エビデンスないのによくやるなぁ・・・と、私などは思うのだが、患者さんたちに聞くと、効果を信じているようだ。国がまぁ容認するどころか、特保という形で促進してるわけだから、国策なのだろう・・・ホントにくだらない。経団連企業は当然ながら、比較的信用していた製薬会社なども、こういう製品を出している。背に腹は代えられない、”誠実さより金”なのだろう。
でも、結論は簡単 → ”グルコサミンもコンドロイチンも、単独、併用ともに、臨床的な意味をもつレベルほどの関節痛改善は認めない”
文中に使われる、VAS(Visual analogue scale)は、痛みなど主観的症状の評価に使われるもので、この論文では、10cm VASに標準化させて各論文比較評価に用いている。
ACP Journal Club: Review: Glucosamine and chondroitin, alone or in combination, do not clinically improve knee or hip pain in osteoarthritis
Ann Intern Med March 15, 2011 154:JC3-4;
グルコサミン、コンドロイチンは単独、あるいは、併用で果たして、股、膝の関節痛を減らせるか?
100名以上の患者を検討した、グルコサミン硫酸、グルコサミン塩酸、コンドロイチン硫酸、2つの併用を互いにあるいは、プラセボ比較した報告を検討
治療域以下の薬剤は除外、すなわち、グルコサミン<1500mg/日、コンドロイチン<800mg/日のトライアルは最初から話にならず除外
MEDLINE, EMBASE/Excerpta Medica, CINAHL,Cochrane Controlled Trials Register (all to Jun 2010); Science Citation Index (1981 to 2008)、conference proceedings; textbooks
; reference
10のRCT (n = 3803)、年齢中央値 62歳 女性比率中央値 68%)
対象:膝 8、股関節 1、両関節 1
フォローアップ期間:1から36ヶ月
ベイズネットワークメタアナリシス併用、直接・間接治療比較
疼痛評価は、異なるスケールを、effect sizeを併用、10cmVASへ変換比較
臨床的意味のある最小差は、0.9cm と 事前設定
プール化effect sizeと呼応する信頼区間(CrIs)は、中央値 2.5thと97.5th センタイル推定
メタ・アナリシス
グルコサミン単独では、関節痛強度を軽減するも臨床的な意義が無い程度、上限 95% CrI < −0.9 cm
コンドロイチン単独、併用では、プラセボ比較でも関節痛強度低下が認めない
↑
すくなくとも0.9cmないと臨床的意義はない
臨床的意義としての閾値などを無視して、上記表だけ提示するサギが蔓延しそうだが・・・
日本では、「皇○」とかやったらとコマーシャルを流して、この臨床的エビデンスのない製品を垂れ流し、この「皇○」は、効果があるかどうかやっと比較できる1日投与成分量、すなわち 「グルコサミン 1500mg/日、コンドロイチン 800mg/日」さえ満たしてないように思える(鶏のとさかなんたらとして、内容自体がわかりにくく表示しているため直接評価を困難にさせている)
皇○は、「1日あたり4~8粒、1粒(300mg)あたりの栄養成分は”エネルギー1.13kcal、たんぱく質0.11g、脂質0.01g、炭水化物0.14g、ナトリウム2.0~6.0mg、原材料 ヒアルロン酸含有鶏冠抽出物」等とかかれ正確なグルコサミン・コンドロイチン量が分からない。
「世田谷生まれのグルコサミン」も、8粒で「グルコサミン 1200mg」など最初から効果あるはずもないと・・・検討対象から最初に除外される程度の含有量の製品!である。・・・ただ、こちらは成分量をはっきりさせているだけ、誠実に思える。
まあ、仮に、どこぞのこばやし製薬の宣伝文句 1760mg/日あっても、臨床効果は確認できないのだから、含有量が少なくても同じだろうけど・・・
ちなみに、サントリーは1200mg/日だが品質が違うと威張ってる・・・なんだかなぁ
by internalmedicine | 2011-04-04 10:46 | ビタミン