終末期医療:症状緩和 (積極的ケアと対比して)

積極的ケアをするか、緩和ケアを優先するか・・・現場症例を交えた誌上の問題提起だが、緩和ケア v 積極的ケアというより、前者に偏った話になるのは仕方ない。

下記ごとく、”苦痛緩和優先が必ずしも生存率低下に直結しない”という報告(N Engl J Med 2010;363:733-42.)がある。
一方、心肺蘇生指示例での手術例は生命予後が結果的に悪いという報告もある。




一般には、より多くの医療資源注入によりアウトカム改善がみられると思われているが、そうじゃないというエビデンスが山のごとくある・・・大量な終末期ケアに伴う検査・医療行為・不快感などの有害性のリスクに加えて、患者の疼痛や症状治療が身体状況改善につながり、より生存率をのばすことが示された(Temel JS, Greer JA, Muzikansky A; et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2010;363(8):733-742.)
(在宅医療の話が続き、3例の終末期ケア患者提示後・・)多くはサポーティブ・ケアは老人や重度認知症には適切だが、若年者・認知機能正常者では必要ないと考えられるむきがある。筆者らは、積極的ケアより安楽さを選択すべきであるが、予後・QOLの現実的ディスカッション後、個々事例でのゴールに向かうべき
Improving Care at the End of Life
Arch Intern Med. 2011;0(2011):20111321-1.



進行した認知症・周囲への関心も失った99歳ナーシングホーム居住女性の下肢壊疽にて、主治医の意図しない創傷センターへの救急搬送について
Honoring Patients' Wishes for Less Health Care
Arch Intern Med. 2011;0(2011):20111341-1.



終末期死亡例の2例対比
・62歳女性への積極的集中治療
・80代男性・アルツハイマー型認知症(health care proxy or advance directiveにて気管内挿管行わず)・緩和ケア
At the End of Life, Sometimes Less Is More
Arch Intern Med. 2011;0(2011):20111331-1.


私も、在宅推進は正しいと思うけど、在宅医療環境の整わない地域や家庭にまでごり押ししている、今の厚労行政が正しいとは思えない。少なくとも、対照を厳格にとった調査報告が必要と思う。
リビング・ウィル運動など治療選択方針に関する事前意思表明活動ってのは、救急や医療施設・医療従事者側の現場の負担を軽減することにもなり、すべてにとってありがたいことだと思う。ただ、現実とそぐわない、意志表明がなされていた場合、その取り扱いがどうなるかが問題になり、結果的には、患者の意志に沿わないことにもなりかねない。より具体性・現実性のある、意思表明が必要だろう。

by internalmedicine | 2011-04-21 08:55 | 医療一般  

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