肺炎後のレントゲンフォローでの新規肺癌発見

肺炎後レントゲンフォローアップされる理由の一つは、肺癌基礎疾患を除外するためである。
退院後、フォローアップ来院を約束したのにそのままで、数ヶ月後来院し、すわ、肺炎再発かと思いきや肺癌発見というケースを苦い思いとしてもっている医者っておおいのではないか!

以下の報告は、”肺炎後の肺癌新規頻度は少なく、90日以内 1%、5年で2%。肺炎後のルーチンレントゲンは必要とされないが、50歳以上では考慮が必要”という結論・・・

Incidence, Correlates, and Chest Radiographic Yield of New Lung Cancer Diagnosis in 3398 Patients With Pneumonia
Arch Intern Med. Published online April 25, 2011. doi:10.1001/archinternmed.2011.155

胸部レントゲン確認された肺炎の住民ベースのコホート研究
2000-2002年まで登録し、5年までフォローアップ

3398名、50歳以上59%、52%男性、17%喫煙者
半数は入院
新規肺癌は、90日目で、36名(1.1%)、1年目で、57名(1.7%)、5年超で、79名(2.3%)
診断中央値109日(中央4分位 17-423日)
特性としては、50歳以上(補正ハザード比 [aHR], 19.0; 95% 信頼区間 [CI], 5.7-63.6)、男性(aHR, 1.8; 95% CI, 1.1-2.9)、喫煙者(aHR, 1.7; 95% CI, 1.0-3.0)
90日以内のフォローアップレントゲンがなされているのは1354(40%)で、診断率は2.5。
もし50歳以上にいぼれば2.8%となる。



肺炎エピソード後の新規肺癌診断累積頻度





上記結論だが、1-3%程度の診断頻度って、馬鹿みたいにやってる日本の肺癌検診レベルと比較しても、桁違いの検出率である。肺炎があったのに見逃されたなどと非難されないためには、日本では、肺炎後、1-3ヶ月でレントゲン確認は必要だと思う。

by internalmedicine | 2011-04-26 08:13 | 呼吸器系  

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