バレニクリン:禁煙前投与期間を引き延ばすと、喫煙量減少、禁煙率増加

バレニクリンの健康保険上の適応は、処方1週間後、8日目から禁煙をしてもらうことが前提。
バレニクリンの期待する作用は、禁煙中のニコチン離脱症状を改善することと、喫煙に関わる”報酬”を減弱すること。現行治療スケジュールによる、バレニクリン事前投与期間は1週間で、漸増による副作用への対応が主眼であり、離脱症状軽減効果は幾分効果自覚があるが、後者の”報酬系”減弱効果を自覚する期間にしては不充分である。

禁煙前バレニクリン投与期間を引き延ばしして、それが禁煙促進的にはたらくかの報告で、特に、報酬系への影響を念頭に置かれた研究デザインである。

禁煙前のバレニクリン投与はad lib喫煙を減少させ、12週後の禁煙率を改善させたという報告。


Use of Varenicline for 4 Weeks Before Quitting Smoking
Decrease in Ad Lib Smoking and Increase in Smoking Cessation Rates
Peter Hajek, PhD; Hayden J. McRobbie, PhD; Katie E. Myers, MSc, CPsychol; John Stapleton, MSc; Al-Rehan Dhanji, MBBS, MRCS
Arch Intern Med. 2011;171(8):770-777. doi:10.1001/archinternmed.2011.138

ロンドンの禁煙クリニック受診 101名

禁煙予定日(TQD)の4週前からバレニクリン v 3週間プラセボ+バレニクリン1週間と比較

喫煙満足度と喫煙状況を測定。

バレニクリン禁煙前投薬期間延長により、禁煙前喫煙満足度を低下 (P = .004)させ、喫煙量を減らし (P < .001)、コチニン濃度を50%を越える濃度で減少した率は36.7%

バレニクリン禁煙前投薬期間延長により、禁煙離脱症状に影響を与えなかったが、12週後の禁煙率増加 (47.2% in the varenicline arm vs 20.8% in the placebo arm, P = .005)

この影響は特にバレニクリン群での喫煙減少群(コチニン濃度50%を越える群)で特に目立つ (66.7% in reducers vs 22.6% in nonreducers, P = .002)
バレニクリン禁煙前投薬期間は耐用性良好。



でも、結論は、明らかにされないといけないいくつかの問題があり、現行スケジュール治療が最適かもしれない・・・

by internalmedicine | 2011-04-26 10:20 | 喫煙禁煙  

<< 若年者非アルコール性脂肪性肝疾... FDAは電子タバコを”たばこ”... >>