小児てんかん:薬物アドヒアランスのパターン ほぼ完璧なアドヒアランスは半数未満

てんかんと運転免許の問題がクローズアップされているとおもうが(てんかんと運転免許について思う・・・ 2011年 04月 20日

免許取得時・更新時にてんかんの状況が良くても、薬物アドヒアランス(遵守性)が不良なら、危険な状況となる。

てんかん患者のアドヒアランスに関して、小児だが、そのパターンの報告がなされている。

小児なので、親の影響が大きいと思われるが、それでも、ほぼ良好なアドヒアランスが保たれているのは半数未満という状況である。


シンシナチ子供病院医療センターでの新規てんかん診断124名の連続コホート82-12歳)(2006年4月から2009年3月まで)の抗てんかん薬アドヒアランスに関する前向き、長軸観察研究で、2009年9月までのファイナルデータ収集

Patterns of Nonadherence to Antiepileptic Drug Therapy in Children With Newly Diagnosed Epilepsy
JAMA. 2011;305(16):1669-1676.doi:10.1001/jama.2011.506

新規診断てんかん児の68%が治療当初6ヶ月で持続的な非アドヒアランス状態
主要アウトカムは客観的な電子モニターを使用指標

5つの異なるアドヒアランスパターンに定義分けしたtrajectory modelの5つのグループ分け(Bayesian information criterion = −23611.8)
・ 重度早期型非アドヒアランス (13%; 95% 信頼区間 [CI], 8%-20%)
・ 重度遅延型非アドヒアランスe (7%; 95% CI, 3%-12%)
・ 中等度非アドヒアランス (13%; 95% CI, 8%-20%)
・ 軽度非アドヒアランス (26%; 95% CI, 19%-34%)
・ ほぼパーフェクトなアドヒアランスe (42%; 95% CI, 33%-50%)

多くの患者のアドヒアランスパターンは、治療最初の1ヶ月で決まる。

社会経済的状況が、アドヒアランスtrajectory群別の単独の予測要素 (χ24 = 19.3 [n = 115]; P < .001; partial r2 = 0.25)で、社会経済状況が悪いほど、非アドヒアランス状態


てんかんを有する人たちを職業差別することは決してあってはならないし、多くのてんかん患者さんは、たとえば、運転免許取得・更新時には問題ないことは明らかである。ただ、コントロール不良のケースで、しかも薬物アドヒアランスが悪い例があることは事実である。そのことを峻別して、対策が行われなければならない。

てんかんだから、運転免許は駄目というのでもなく、また、現時点で取得時・更新時チェックでOKだからといって薬物を完璧に服用するという保証にもならない・・・

ある程度、アドヒアランス状況を類型化し、poorなtrajectoryを示す人たちにはモニタリングならびに、免許に監視制限が必要なのでは?

by internalmedicine | 2011-04-27 09:18 | 中枢神経  

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