【米国】進行認知症における医療費高コスト修正可能要素 → 終末期積極的治療 

Goldfeldらは、323のナーシングホーム住居者のコホートで、Medicareサービス費用を18ヶ月間にわたってフォローアップ検討。医療支出は、一人90日間あたり$2303で、入院によるものが30%、ホスピス・サービスによるものが46%をしめる。研究によって、高コスト関連のいくつかの修正可能な要素が見いだされた。
すなわち、終末期患者のaggressive treatmentから遠ざけることで支出を回避できる
Medicare Expenditures Among Nursing Home Residents With Advanced Dementia
Keith S. Goldfeld, MPA, MS; David G. Stevenson, PhD; Mary Beth Hamel, MD, MPH; Susan L. Mitchell, MD, MPH
Arch Intern Med. 2011;171(9):824-830. doi:10.1001/archinternmed.2010.478



進行認知症においての検討。
日本だと、「認知症患者を馬鹿にしてんのか、最後まで、最善を尽くせ」という主張もまかり通る。
よくテレビドラマや娯楽番組でみる医療シーン ”最後まで全力を尽くします”この背後には多額の医療費が存在することは確かなのだが・・・


患者自身のautonomyを尊重した意思決定、特に、心肺蘇生において重要という報告も同雑誌記事に掲載されている

On Patient Autonomy and Physician Responsibility in End-of-Life Care
J. Andrew Billings, MD; Eric L. Krakauer, MD, PhD
Arch Intern Med. 2011;171(9):849-853. doi:10.1001/archinternmed.2011.180


厚労省あたりがまともなら、患者自体のオートノミー尊重と、真に無駄な医療費削減が同方向を向いているこの議論に前向きになるはず・・・


政治状況から、大病院至上(市場)主義尊重の昨今の厚労行政は、急性期積極的ケアにばかり目が向いている。これが、潜在的に、患者オートノミーを軽視しがちなEOLでの積極的医療行為推進に陥る可能性がある。

医療の現場からにが出したい開業医の一人として警告しておきたいが、こういう声は抹殺される運命なのだろう。

by internalmedicine | 2011-05-10 08:55 | 終末期ケア  

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