the Lancet: "朝日新聞癌ワクチン副作用報道問題"
2011年 05月 14日
朝日新聞における、癌ワクチン臨床トライアルに参加されていた、下血発症進行膵がん患者の報告に関わり、これが重篤な合併症とされ、臨床トライアル部門に知らされてなかったという報道。新聞は副作用隠蔽をナチスドイツの医師呼ばわりして批判したという問題
それに関するthe Lancetへの投稿記事。
Sharing information on adverse events
The Lancet, Volume 377, Issue 9778, Page 1654, 14 May 2011
【結語一部訳】
”多くのがん患者たちが新薬を待ち望み、臨床トライアルに関するメディア報道が増加。マスメディアの一般への影響力は大きい。一方、臨床的トライアルには専門的知識・技術が要求される。関連する用語・スキルが一般医学とは異なり、一般やメディアとにはなじみのない。臨床トライアルにおける情報が研究者間で適切に共有されてないのでア有れば、カオス状態を引き起こすだろう。研究者たちはこれらの状況と大衆・メディアとの乖離に留意し、臨床トライアルに関わるコミュニケーションギャップの橋渡しをすべきだろう”
メディア側が、恣意的に、悪意を持った場合、報道される側は無力。
”コミュニケーションギャップ”なんて言葉で解決出来る問題なのだろうか?
相互批判的報道がなされる土壌なら情報の取捨選択可能な状況もあるだろう。ところが、日本では、記者クラブなどの構造にみられるごとく、異質を排除する傾向の強い日本のマスメディアの構造がある。強力な発言力をもつマスメディアが狙いを定めた場合、そのターゲットとされた場合無力となる。仕方なく、新聞社やテレビ局に多額の広告をうち、利益相反を狙う。日本はいびつなマスメディア頂点とする国家なのである。
異質な意見を排除し、マスメディアに都合の良い情報しか流れない・・・まさに、この国は、朝日新聞が揶揄した”ナチス国家”である。
そもそも、朝日新聞は、自身が戦前の御用報道による戦争へあおった、その責任を忘れている。
朝日新聞のやるべきことは、よりよい新薬開発のため、臨床治験に関わった研究者に対する侮蔑的文言をわび、自らの無謬性を否定することから始めるべき。
「事実を歪曲した朝日新聞がんペプチドワクチン療法報道」 平成22年10月29日 日本医学会 会長 髙久史麿
【ワクチン臨床試験報道】 Q&A 何が起きた?/どこが問題か/社説の意図は 2010年11月30日付 朝日新聞東京本社朝刊から
by internalmedicine | 2011-05-14 08:19 | メディア問題