アルツハイマー病のなかに記憶障害より行動・言語・視覚問題を訴える例が多くあり、初期誤診につながる

若年発症アルツハイマー病の1/3異常は初期の症状として、行動、言語、視覚問題を訴え、記憶障害よりもその方が目立つ例がある。剖検にて46-60歳の年齢のアルツハイマー病と判明した症例の検討結果。


Clinical features and APOE genotype of pathologically proven early-onset Alzheimer disease
Neurology May 17, 2011 vol. 76 no. 20 1720-1725


平均罹患期間 11年、診断の遅れ 3.1年
37.5%が記憶以外の所見を有する
Behavioral/executive dysfunctionが最も多い非定型的所見
非典型的所見症例では、初期誤診は53%、しかし、後顧的amnesia我有る場合は誤診まれ (4%)

初期臨床診断の誤りとしては、 behavioral variant前頭側頭葉変性症 2例 、正常圧水頭症 2例、 semantic dementia 1例、原発性進行性失語症 1例、 皮質基底核変性症 1例、 うつを伴う偽性認知症 1例、分類不能認知症 1例



APOE genotype は ϵ3/ϵ3 59%で、定型例、非定型例で有意差無し
APOE ϵ4 はAD家族歴患者で3.3倍

97.5%でadvanced neurofibrillary pathologyを示した。Lewy bodyを合併するのは45%であったが、局所的であり、有意な臨床的関連を示さなかった。



NHKにでてくるお医者さんたちは、自らは誤診無しなのか自信満々なのだけど・・・

”診断のdelay 3年あまり”という事実がこの専門家受診をベースにした論文でも報告されている。
プライマリケア医の能力不足だけが原因とNHKは言いたげだったが、これはユニバーサルな問題で、原因は別にあるのではないか。すなわち、上記論文だと、記憶障害以外の症状が真表のときは専門医さえアルツハイマー病を誤診するのである。臨床診断クライテリアの問題も存在するのだ。

by internalmedicine | 2011-05-17 09:39 | 精神・認知  

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