米国:救急外来部門閉鎖相次ぐ ・・・ 閉鎖となる要素は?

1998-2008年の間に、受診者数は増加しているのに、病院・救急部門数が米国で減少し続けている
American Hospital Association Annual Surveyとメディケア&メディケイドサービスの経済情報を複合したデータ解析にて、hsiaらは、都市部救急部門閉鎖に関わる病院、地域、マーケット要素を検討。

1990-2009年の救急部門閉鎖高リスク病院特性は、セーフティ・ネット病院、for-profit ownership(営利目的経営形態、すなわち、私立)、競合マーケット地域性、low profit margin(少ない利益差益)と判明した。





Factors Associated With Closures of Emergency Departments in the United States
JAMA. 2011;305(19):1978-1985. doi: 10.1001/jama.2011.620



1990-2009年において、非田舎地域のEDを有する病院数は2446から2009と減少し、1042のED閉鎖と374のED新たな開設。
2814の都市部急性病院、18年研究機関において36335の病院・年観察で、営利目的病院(日本では私立病院)と小利益病院は、それぞれのカウンターパートより閉鎖が多い (2変数モデルにおける累積ハザード比, 26% vs 16%;ハザード比 [HR], 1.8; 95% 信頼区間 [CI], 1.5-2.1, 36% vs 18%; HR, 1.9; 95% CI, 1.6-2.3)

競合マーケットが多い病院ほど閉鎖リスクが有意に高い  (34% vs 17%; HR, 1.3; 95% CI, 1.1-1.6)
safety-net病院ほど閉鎖リスクが高い (10% vs 6%; HR, 1.4; 95% CI, 1.1-1.7)
貧困住民比率の高いところほど閉鎖リスクが高い (37% vs 31%; HR, 1.4; 95% CI, 1.1-1.7)


形だけになりつつある日本の皆保険とは様相が異なるようだが、救急部門閉鎖は、”私立”・”貧困地域のセーフティ・ネットに関わる病院”・”利益を生み出さない部門”・”とりっぱぐれの多い貧困地域”で撤退が甚だしいという米国の医療現状。

市場原理に基づく医療のなれの果てなのだが、まだ、日本の官僚・財界と政界の大部分ではこれを理想にている日本。公的病院は赤字を出して当たり前なのに、公的病院でさえ”利益追求”が経営評価のトップとされ続けている日本。

by internalmedicine | 2011-05-18 08:40 | 医療一般  

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