髄膜炎菌集団感染? ・・・ 薬物的予防投与やワクチン

宮崎県の髄膜炎菌集団感染?
計5人から髄膜炎菌 血液検査で確定
2011年05月20日

 男子寮で生活する1年男子生徒(15)が髄膜炎菌の感染に伴い死亡したとみられる小林市の小林西高(畠中高照校長、415人)で、県は19日、この男子生徒が所属する野球部の1年男子2人から髄膜炎菌を検出した、と発表した。いずれも症状は軽い。

 同日は血液培養検査の結果、死亡した男子生徒から髄膜炎菌を検出。これで同校関係者からの菌検出は計5人となり、県感染症対策室は「国内の集団感染は極めてまれ。感染拡大防止に努めたい」と危機感を強めている。
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=38217&catid=74&blogid=13&catid=74&blogid=13


あくまで、漏れ聞く話だが、周辺への薬物予防投与が問題になっており、リファンピシンなどが検討されているところもまで聞いた。

CDC:Meningitis Questions & Answers
http://www.cdc.gov/meningitis/about/faq.html


このQ&Aでは積極的予防治療は推奨してないようにも見えるが・・・
Q: Can I get viral meningitis if I’m around someone who has it?
A: If you are around someone with viral meningitis, you may be at risk of becoming infected with the virus that made them sick. But you have only a small chance of developing meningitis as a complication of the illness.


Antibiotics for preventing meningococcal infections
Fraser A, Gafter-Gvili A, Paul M, Leibovici L
http://www2.cochrane.org/reviews/en/ab004785.html

プラセボ比較で治療後1週後に N. meningitidis除菌有効
・ Ciprofloxacin (RR 0.04; 95% CI 0.01 to 0.12)
・ rifampin (rifampicin) (RR 0.17; 95% CI 0.13 to 0.24)
・ minocycline (RR 0.28; 95% CI 0.21 to 0.37)
・ penicillin (RR 0.47; 95% CI 0.24 to 0.94)

しかし、  rifampin (RR 0.20; 95% CI 0.14 to 0.29) と ciprofloxacin (RR 0.03; 95% CI 0.00 to 0.42) のみが2週後の有効性判明

Rifampin は4週後もプラセボ比較で有効dが、予防投薬後耐性がみられた

ceftriaxoneのプラセボのトライアルはないが、2週後フォローrifampinより有効性





ワクチンがすべてではないし、髄膜炎菌による髄膜炎の頻度から考えて、疫学的考察が必要ではあるが・・・

米国・英国の学校に入学(特に入寮)する際に接種証明が求められることが多く、"アメリカ合衆国においては、髄膜炎菌ワクチンを受けていない寄宿舎に住む大学新入生は髄膜炎菌ワクチン接種が推奨されています。"(http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/mening1.html)と、その現状を横浜市の担当部局も認識している。

米英とどう違うのか、日本でも行政側からの説明が必要だろう。

IDSC 
 第一選択薬としてpenicillin Gが、第二選択薬としてはchloramphenicol が推奨されている。また一般に髄膜炎の初期治療に用いられるcefotaxime(CTX)、ceftriaxone(CTRX)、cefuroximine は髄膜炎菌にも優れた抗菌力を発揮するので、菌の検査結果を待たずしてCTX 、CTRX をpenicillin G と併用すれば起炎菌に対して広範囲な効果を現し、早期治療の助けとなる。
 予防としてはまずワクチンが挙げられる。・・・

 ↑
Cochraneなどの情報アップデートされてないように思えるのだが・・・

(以前、IDSCサイトのtoo lateぶりを批判したら、それを批判されたことがあるが・・・ それでいいのだろうか?)

以前、ステロイド適応と考えられその後禁忌とされた疾患に関し、難病特定疾患公的サイトにそのことが掲示され続けていた。これを指摘したときは、迅速な対応がなされた。

一方、感染症に関わる人たちは・・・”感染症権威者”って官僚的性癖があり、こんなことだから、ワクチン後進国でありつつでるのだ・・・

って書くとまた非難されそうなので小心者の私は・・・文末にぶつぶつ書いて終わりにしよう。

by internalmedicine | 2011-05-21 09:22 | 感染症  

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