超悪玉コレステロール : ”MGmin-LDL”

”超悪玉LDL”= ”small dense、ねばねばLDL” ="MGmin-LDL"

Glycation of LDL by Methylglyoxal Increases Arterial Atherogenicity
A Possible Contributor to Increased Risk of Cardiovascular Disease in Diabetes
Published online before print May 26, 2011, doi: 10.2337/db11-0085 Diabetes May 26, 2011

”MGmin-LDL”:modification of LDL by methylglyoxal (MG)は、”potent arginine-directed glycating agent”として働く
LDLのメチルグリオキサールは、(メイラード反応を介してAGEsを増加させ)動脈硬化を増加させる、small, denseなLDLを形成し、動脈硬化LDLの新しいルートとして、糖尿病の心血管系リスクや、メトホルミンの心血管防御作用の説明要素となりえる。



メチルグリオキサールとグリコールアルデヒドによるLDL糖化
Glycation of low-density lipoproteins by methylglyoxal and glycolaldehyde gives rise to the in vitro formation of lipid-laden cells.
Diabetologia. 2005 Feb;48(2):361-9. Epub 2005 Jan 20.



解説: 'Ultrabad' cholesterol identified
Friday 27th May 2011
http://www.nursinginpractice.com/article/25662/%27Ultrabad%27_cholesterol_identified

メトホルミンは、この"normal"LDLからMGmin-LDLへのtransformation阻害効果があるとのこと。


Super-Sticky 'Ultra-Bad' Cholesterol Revealed in People at High Risk of Heart Disease ScienceDaily (May 26, 2011)

British Heart Foundation (BHF)資金により、MGmin-low-density lipoprotein (LDL)が2型糖尿病や老人で多く検出され、"正常LDL"より、より"sticky"で、血管壁プラークに接着しやすく、冠動脈性心疾患原因となる危険な脂肪プラーク形成を促進することが分かった。
研究室でのヒトMGmin-LDL合成による発見であり、これは特徴的な物質であり、他の重要な生体内分子との相互作用としても重要である。
"正常LDL"に糖鎖をくっつけて作られるもので、いわゆる糖化であり、LDLをより小さく、密度が高い。形状の変化をもたらし、LDL表面の新しい領域が糖からさらされ、結果的に、粘っこくなり、脂肪性プラーク形成を促進し、血管狭窄、そして、血流阻害を生じ、破裂をもたらし、心発作・卒中のトリガーになる
メトホルミンがなぜ2型糖尿病で心血管疾患リスクを減少させるかの説明にもなり、すなわち、メトホルミンは血糖後作用以外にこの"ねばねば"MGmin-LDLへの変換阻害作用を有する。




糖尿病により血糖が増加すると、ぶどう糖の自動酸化、蛋白質のアミノ基との共有結合形式を介して、グリオキサール、メチルグリオキサール(MG)、3-デオキシグルコソンが生成する。糖尿病患者では、これら時カルボニル化合物の血中濃度の上昇が認められている。これらの化合物は、グルコースと比較して反応性が高く、メイラード反応を介して終末糖化産物 AGEs(advanced glycation end-products)の形成を促進する。このことが、糖尿病の網膜症、神経症(神経障害が正しいと思う)、腎症などのいわゆる三大合併症に結びつくことが考えられている。(http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/128_10/pdf/1443.pdf)


AGEsは、糖と蛋白質が非酵素的に結合する糖化(メイラード反応)により生成されます。糖化(メイラード反応)は、糖とアミノ酸の酵素を介さない反応で、その反応は2段階で起こると考えられています。

先ず、糖のアルデヒド基とタンパク質のアミノ基が結合し、可逆的なシッフ塩基が形成されます。シッフ塩基はアマドリ転位によって安定なアマドリ化合物になります。ここまでを初期反応と呼びます。後期反応ではアマドリ化合物に脱水、縮合、酸化、転位などの複雑な多数の反応によって3-デオキシグルコソン(3DG)、メチルグリオキサールなど反応性の高いジカルボニル化合物を産生します。さらに多数の反応経路を経て、不可逆的な最終産物であるAGEsが生成します。

AGEsは糖化(メイラード反応)による最終生成物の総称で、その生成過程の性質から単一なものではなく多様なものであると考えられており、その同定が進行中です。今までに提唱され、比較的研究が進んでいるものとしてカルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、ピラリンなどが同定されています。


(転記:http://ebn.arkray.co.jp/disciplines/anti-aging/glycation-01/)


"small dense LDL"(SLDL):小粒子LDLプロファイル(Small,Dense LDL Profile)って、”HD発症リスク低下を目的とした減量指導、あるいは薬物療法における効果判定、コンプライアンスの確認にも有用”といううたい文句だが、臨床の場であまり計測する機会はなかったと思う。”血清中のLDLが主に正常粒子径のもので構成される場合を表現型type A、小粒子LDL優位の場合をtype Bとすると、type Bはtype Aに比べCHDの発症頻度が約3倍高いことが報告されている。また、血清LDLが100mg/dLを超える群ではCHD発症の相対危険度が4~7倍高まるという”こと(転記:http://www.medience.co.jp/research/01_01.html)が伝えられてきた。”SLDL=MGmin-LDL"なのかどうか、また、今後のマーカーとしてあるいは治療ターゲットとしての見通しなど解説が待たれる。


メトホルミンってやっぱり良い薬剤だ! 日本の糖尿病の医者って数年前までいったい何をやってたんだろうか?

by internalmedicine | 2011-05-28 09:33 | 動脈硬化/循環器

 

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