インフルエンザワクチンを筋注から皮内注にかえたら注射量節約・・・・日本の皮下注は?

今回NEJMで報告されている量は1/5~2/5の量の皮内注。
後述の報告の量が少なすぎるのか、我々日本の皮下注射はどうなのか?
投与量が多すぎるのか?



日本での投与方法と比べてみると
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1ml中各株のHA含量(相当値)は1株当たり30μg以上
成人標準量は15μg(6-13歳は0.3mlなので9μg、1-6歳は0.2mlなので6μg、1歳未満は3μg
に、1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには0.3mL、1歳から6歳未満のものには0.2mL、1歳未満のものには0.1mLずつ2回注射する。
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
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日本の投与方法である皮下注による量は外国の筋注と同じ量であるわけで、どのような影響を及ぼしているかわかりませんが・・・

本来、即効性を重んじるなら筋肉内投与(筋注)で、抗体産生を望むなら吸収の少ない皮内注が合理的であるはずですが、外国では筋注が主体のようです。
(日本で皮下注なのは訴訟がらみ・・・けがの功名?)


USではインフルエンザワクチン不足は深刻なようで、“皮内注による節約が有効?”ということで、量の節約にもなるということらしいです。
皮内は結構難しいし、時間もかかるので・・・どうかなぁ?


Serum Antibody Responses after Intradermal Vaccination against Influenza
www.nejm.org November 3, 2004 (10.1056/NEJMoa043555)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa043555
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa043555v1.pdf 
皮内注:6 μg hemagglutinin for each antigen
筋肉注: 15 μg of hemagglutinin
18-60歳の患者で、血中抗体の反応は意味があり、皮内と筋内内投与との差はなく、全員HAI抗体は少なくとも1:40と上昇していた。
60歳超える場合も十分な反応があったが、筋肉注射の方が良好な反応がある傾向があった。しかし、H3N2種の抗原のみ有意差があった。筋肉内投与群の高齢者群の100%と皮内投与群の93%はH3N2種ではHAI抗体1:40以上。
H1N1,B種ともに、皮内注・筋肉注両群とも高い抗体値
局所疼痛は優位に筋肉注射のほうがより多いが、60歳以上は差異がない。
局所炎症の兆候は優位に筋肉注より皮内注群で多い。




Dose Sparing with Intradermal Injection of Influenza Vaccine
www.nejm.org November 3, 2004 (10.1056/NEJMoa043540)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa043540
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa043540v1.pdf

標準量の1/5量のインフルエンザワクチン皮内注
21日目に
H1N1 strain:15.2
H3N2 strain:19.0
B strain:12.4

標準量の筋肉注
H1N1 strain:14.9
H3N2 strain:7.1
B strain:15.3


21日目にセロコンバージョン(66-82%)やセロプロテクション率(84-100%)は同様。
局所反応は筋肉投与患者より筋肉投与がより頻回だが、軽度で一過性。
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医療機関を悪者にしている厚労省のくそ役人どもに言いたい→インフルエンザワクチンが足りないなら、半分量にしても有効だった?

by internalmedicine | 2004-11-04 16:17 | 呼吸器系  

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