禁煙に関わる食欲増加・肥満対策に光明:Cytisine結合視床下部特異的受容体

禁煙治療に関わる肥満・食欲増加の問題・・・これに関して一挙解決の可能性のある報告で意義深いのだが・・・

英語論文でなければ手柄はすべて英語圏の人たちのものなのか?・・・この画期的な報告を私自身は、疑問を感じながら”Science"誌の紹介記事を読んだ。


ソース:http://www.sciencedaily.com/releases/2011/06/110609151535.htm


禁煙後の体重増加に関して、新薬につながる脳のメカニズムが見つかったとのこと。

ニコチンにおける齧歯類の食事量減少に関わる脳のニコチン作用受容体の特異的サブクラスの発見


10ポンドほどの禁煙後体重増加が報告され、この体重増加により禁煙を躊躇する例が多くなってる。

Science誌 6月10日号

ニコチン様薬剤、cytisineが、特異的に、視床下部の活性化ニコチン作用受容体活性化し、その活性化により食事量を制限する。マウスモデルでは食事量・体脂肪減少を示した。この作用は非常に特異的、視床下部受容体からcytisine結合を防止すれば食事量を食事摂取減少を抑えることとなる。
タバコは依存性の最も高い薬物でもあり、疾患・傷害・死亡予防としてはもっとも可能性の高いもの出る。
(なぜ禁煙が進まないかと言えばこの禁煙後の体重増加が一つの阻害要因)
ニコチンの摂食・体脂肪減少作用のメカニズム判明すれば、推奨・励ましよりニコチンからの離脱が進むのでは無かろうか。


Yann S. Mineur, Alfonso Abizaid, Yan Rao, Ramiro Salas, Ralph J. Dileone, Daniela Gündisch, Sabrina Diano, Mariella De Biasi, Tamas L. Horvath, Xiao-Bing Gao, Marina R. Picciotto. Nicotine Decreases Food Intake Through Activation of POMC Neurons. Science, 10 June 2011: Vol. 332 no. 6035 pp. 1330-1332 DOI:




英語本位で埋もれた知見:禁煙治療 cytisine2006年 08月 15日
Cytisineというのは、毒性のpyridine様アルカロイドで、ニコチンと類似作用を有する、大量投与により呼吸器系へ影響を及ぼし、死にいたる可能性がある。
isoquinolineやquinoline摂取により消化器刺激症状は一般的で、嘔吐を催すことも、摂取後45分後から4時間で上記症状は生じ、中枢神経症状、意識混濁、易疲労、平衡機能障害、筋の痙縮、痙攣、昏睡、散瞳が生じる。(eMedicine 植物毒性、アルカロイド IsoquinolineやQuinoline)


Cytisineを即、臨床応用しようなんて考えないように・・・

by internalmedicine | 2011-06-10 08:39 | 喫煙禁煙  

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