今後10年、肝障害主因はNASHとなり、肝硬変・肝細胞がんへのインパクトも大きくなる

・ 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
・ 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

Systematic review: the epidemiology and natural history of non–alcoholic fatty liver disease and non–alcoholic steatohepatitis in adults Evidence Based Medicine
G. Vernon1,2, A. Baranova2,3, Z. M. Younossi
Alimentary Pharmacology and Therapeutics
DOI: 10.1111/j.1365-2036.2011.04724.x


NAFLDは肝機能異常(肝逸脱酵素増加)疾患の中でもっとも多い疾患原因である。
NAFLDスペクトラムのうち、NASHのみが肝硬変・肝細胞がんを発症する。
肥満疫学調査が進むことでNAFLDの頻度・インパクトが増加し、次10年において、NASHが進行肝疾患の原因の首位になるだろう。


アジア太平洋地域での疾患の広がりが問題になり京都大学の肝臓移植あたりから、随分、広まっては来ているが、診療ガイドは、値段は安いものの市販
NASH・NAFLDの診療ガイド 2010
編集 日本肝臓学会

という状況。

ちなみに、講演会に行くとよく聞くのだが、NASHは”ナッシュ”、NAFLDは、“ナッフルドゥ”あるいは“ナッフルディー”と呼ぶそうだ。
そして、診断は、”実際には,肝炎ウイルス等の感染マーカーがいずれも陰性で,自己免疫性肝疾患も否定できて,ヘモクロマトーシスやWilson 病等の代謝性肝疾患でもなくて…,といった具合に除外診断を進めて行くことによって最終的にNAFLD に辿り着く”
http://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/47/12/529/_pdf/-char/ja/


アルコール性肝障害との区別が問題となる。日本の指標も、米国指標の男性で30g/日、女性で20g/日(5年内)(ビール350mL、ワイン 120mL、アルコール10%のハード・リキュール45mLと換算)という米国指標(http://www.clevelandclinicmeded.com/medicalpubs/diseasemanagement/hepatology/nonalcoholic-fatty-liver-disease/)に準じており、”病歴に明らかな飲酒歴(1日20g以下)”と準じている。日本人のアセトアルデヒドの酵素活性から考えてどうなのか疑問がもたげる。

by internalmedicine | 2011-06-13 09:11 | 環境問題  

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