ロタウィルスワクチンによる腸重積 5-7万人に一人 ;効果とリスクの観点から論ぜよ
2011年 06月 16日
ただ、入院数や死亡数推定からかんがえれば絶対的に少なく、疫学的観点からワクチン投与が考えられるべき
Intussusception Risk and Health Benefits of Rotavirus Vaccination in Mexico and Brazil
Manish M. Patel et. al.
N Engl J Med 2011; 364:2283-2292June 16, 2011
615名の患者(メキシコ 285、ブラジル 330)で、2050の対照との比較。
RV1初回投与後1-7日で腸重積リスク増加は症例連続法、症例対照法ともに、メキシコの乳児で見いだされた(incidence ratio, 5.3; 95% confidence interval [CI], 3.0 to 9.3、odds ratio, 5.8; 95% CI, 2.6 to 13.0)
ブラジルの乳児では初回投与後のリスクは認めなかったが、増加リスクはあり、メキシコの初回投与よりは少ない影響であり、2回目は、1-7日後、1.9-2.6の要素で増加した。
腸重積複合年次超過数は96で、メキシコ 約51000乳児対1、ブラジルで、68000対1
RV1による寄与死亡数は5例
RV1予防効果は、2ヶ国で、約8万入院、下痢による死亡数は1300となっている。
ワクチンに限らないが、”No risk, high return"なんて予防医学にありえない。だが、司法・行政は現場にそれを要求する。”ワクチン同時接種後の死亡例”なんて人間に死ぬ確率がある限り母集団が大きければ必ず怒ることである。そういうリスクは行政が保証すべきなのに、現状では、”接種医”に責任なすりつけたまま。厚労省の役人やその周辺の”識者”ってのが一番分かってない日本。
結局、全部 ・・・・ 「医師の責任」になる ワクチン同時接種 2011/03/25
http://intmed.exblog.jp/12319902
Hibワクチン+三種混合ワクチン後死亡事故 誰が責任とる? 2011/03/04
http://intmed.exblog.jp/12218085
くそ役人現場丸投げ責任回避通達:ワクチン同時接種 2010/10/27
http://intmed.exblog.jp/11482553
熊本で死亡例があったが、"接種した医師”のその後の処遇が心配・・・
by internalmedicine | 2011-06-16 08:59 | 感染症