競技アスリートでもウォームアップは短いほど良い
2011年 06月 17日
活動後増強(PostactivationPotentiation:PAP)とは,コンディショニング収縮後に,単収縮トルクや低頻度強縮トルクなどが増強することである.コンディショニング収縮後に単収縮トルクは増加するが,MVCあるいは高頻度強縮におけるピークトルク(Po)および無負荷時の最大短縮速度(Vmax)は増加しないと報告されている.
http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2008/1K05A152.pdf
最大随意短縮性トルクのための活動後増強現象をコンディショニング収縮を行うことが、競技種目アスリートたちのウォームアップ運動の目的となっている。
では、それはどの程度の時間、そして、メニューの運動が必要か? ・・・ 特定解はまだないようだ。
Less is More: Standard Warm-up Causes Fatigue and Less Warm-up Permits Greater Cycling Power Output
Journal of Applied Physiology May 2011
競技前のウォーミングアップは、筋肉温度を上げ、酸素摂取動態を亢進し、嫌気的代謝を促進し、パフォーマンスを上げると想定されている。コーチ、生理学者、アスリートたちはいずれも、アスリート競技前のウォーミングアップの重要性を証明したいと思っている。しかし、ウォームアップの必要時間、強度に関しては不明のままである。カナダの研究者たちが示唆する研究を報告している。
結論は、ウォームアップ運動は、競技種目において、”less is more." すなわち、少なすぎる方が良い
伝統的な、強度の高い、より長時間のウォームアップは競技種目アスリートにとってpost-activation potentiation(PAP)と呼ばれる生理学的プロセスを促進するとされていた。
PAPにおいて、強化身体運動短期的施行により生化学的変化が筋細胞に生じ、筋肉の収縮反応を促進すると考えら得る。通常、この現象は5-10分持続しするが、疲労により筋収縮反応低下する。
20分続く最大心拍数の95%まで徐々にアップし、8分間隔の4回のスプリントを繰り返す、従来の長いウォームアップ法で、全体で50分も続くやり方である。
より短期間の実験的ウォームアップは、最大心拍数の70%までで、15分程度の1回スプリントだけ
ウォームアップ両方ともPAPは存在するが、従来の方法はPAPを損なうほどの疲労を生じ、実験的ウォームアップでは、それが生じなかった。従来のやり方のウォームアップ後は筋収縮は減少し、疲労増加が考えられた。ただ、両ウォームアップとも、筋収縮力低下を示した。
結局、ウォームアップは短い方がパフォーマンスがよく、ピークの筋力は6.2%高く、total workは5%ほど従来法より大きい、故に、従来のとことんまでのウォームアップしてしまうと、競技種目において、本来の能力を生かし切れなくなるだろう。
by internalmedicine | 2011-06-17 11:10 | 運動系