誤診糾弾書籍:”誤診”と"difficult patients"の狭間

”Difficult Patients”ってのに惹かれた"The Lancet"の書評。

・ "Difficult Patients"  2007/09/05
difficult patient  2007/07/05

この関係の記述物って、とても誤解を受けやすいのだが・・・臨床実践上は重要な一つのテーマだと思っている。


書評の元は、”誤診を糾弾する本”


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Chloë Atkinsは、すべての医師が恐れるタイプの患者、明らかな医学的説明をすることが困難な症状多彩な患者。GP順番表にこのような患者は多数折り、幸いなことに多くは重篤な疾患を有しない。しかし、この本で指摘されているとおり、悲惨な経験となることは少なくない。
Atkinsは結局、非定型的な重症筋無力症であり、解決するまで20年間を要した。次々と医師を変わる食べ、心身症と診断され、医療関係者への憎しみが増していった。曖昧なまま医療が頓挫する不毛なリアリティーに満ちている。
医師たちは”憎々しげに”分からないと言う、そして、この関係は医師・患者関係に現れる。
そして、”difficult" patientと我々は呼ぶ、Atkinsは、にべもなくこのカテゴリーに入れられ、人々を”消耗させ”てばかりいると称される。
医師たちが曖昧さが嫌いということは、彼らのキャリアの医学教育上、当然であり、一見確固とした事実のと見える礎に基づいているからである。しかし、これにも心配なことがある。
症状が曖昧で不定な多くの患者に重篤な疾患はないのだろうか?”わらの山から針を探す”ようしむけることは短時間の外来では不幸なことに現実的ではない。15分以下で、優れた名医でさえ、様々で、ミステリアスな所見で疾患を見つけ出すことは不可能だろう。いまでは、多くの医師たちは、あざとい代替法を編み出している。 “it's all in your head”(気のせい)で片付ける方法である。chronic pain syndromes、 irritable bowels、 fibromyalgiaは生物学的根拠に基づく者であるが、実は、よく分かってない疾患である。ストレスがこれらの疾患にさらなる悲劇をもたらす理由、そして、これらがなぜ緩和されるか、分かってない。医師たちの多くは、生物学的・心理学的側面から、シンドロームとして整理したつもりで観察し、管理しようとしている訳である。
Atkinsは、早く診断できなかったこと、まじめに対処しなかったことに対し、医療関係者に怒っており、この本を"justice narrative"と読んでいる。でも彼女の状態は実際に診断できたかどうかは疑問である。医師たちがまじめに非特異的症状をじっくりと対処し、検査を検討しても、模範的に配慮し、レスペクトし、粘り強く対応しても、不定な臨床所見で、まれなる病気を診断することは不可能だったろう。
Atkinsは、彼女の誤診の原因は、明らかなミスととらえている。確かに、態度は辱めを与え、有害で、注意すべき部分もあっただろう、しかし、複雑で、予測不能な状態に原因を求めることは不可能と思われる。

この本のシリーズは、“How Patients Think”とシリーズ化されたもの。
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医師側はそれから何を学ぶかというと、”簡単にカテゴライズしないこと、そして、個別性を配慮すること”と解説者は述べている。


医師糾弾シリーズと言ったところか? 日本でも、患者側体験としての不満を契機にした医師批判、多くが医療過誤や不幸な転機をきっかけにした書籍がある。
書評として、医師側からそれを学び取り、そして、医師側からの現場の現実性にもとづく説明を行うってものは日本では存在しない。ほとんどの医師批判本は、事実・内容が批評されず、言いっぱなし・・・となる。

by internalmedicine | 2011-06-17 15:31 | メディア問題  

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