糖尿病・高血圧合併患者でアーチストは代謝系に安全(ロプレソールと比較)

糖尿病・高血圧合併患者で、metoprolol(ロプレソール、セロケン)とcarvedilol(アーチスト)とを比較したら、代謝系への影響はアーチストが良好だったとのことです。

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Metabolic Effects of Carvedilol vs Metoprolol in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus and Hypertension
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2004;292:2227-2236.
β遮断剤は高血圧・糖尿病患者で心血管リスクを減少することが示されているが、代謝症候群はβ遮断剤のなかに悪化を示すことがしられれている。
レニンアンジオテンシン系(RAS)遮断剤投与を受けているβ遮断剤の糖尿病・高血圧患者への薬理学的特性の血糖・代謝コントロールへの影響を比較
【デザイン】ランダム化二重盲験平行群トライアル (The Glycemic Effects in Diabetes Mellitus: Carvedilol-Metoprolol Comparison in Hypertensives [GEMINI]):2001年6月1日-2004年4月6日、205USサイトで検討。1235名36-85歳の高血圧(>130/80 mmHg)・糖尿病(HbA1c 6.5-8.5%)でRAS遮断剤投与中。35週間フォロー
【介入】
6.25-25mgの投与量(n=498)、50-200mgの投与量(n=737)それぞれ1日2回
高圧目標達成のためopen-labelのhydroclorothiazideとDHP系拮抗剤を必要なら投与
【結果】2群ではHbA1cの平均値が異なるThe 2 groups differed in mean change in HbA1c from baseline (0.13%; 95% confidence interval [CI], –0.22% to –0.04%; P = .004; modified intention-to-treat analysis).
平均HbA1c増加は、metoprololで増加 (0.15% [0.04%]; P<.001)、carvedilolで減少carvedilol (0.02% [0.04%]; P = .65)
インスリン感受性はcarvedilolで改善(–9.1%; P = .004)、metoprololでは改善せず(–2.0%; P = .48); 両群差 –7.2% (95% CI, –13.8% to –0.2%; P = .004).
血圧は両群同様
微量アルブミンの進行はmetoprololoよりcarvedilolで少ない(6.4% vs 10.3%; odds ratio, 0.60; 95% CI, 0.36-0.97; P = .04).
【結論】β遮断剤は両者とも耐用性は良好
糖尿病+高血圧患者では、RAS遮断下のcarvedilolは糖尿病コントロールに影響を与えず、metoprololと比較して代謝症候群のいくつかの改善をみた
2つのβ遮断剤の効果は長期比較の必要がある。

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β‐遮断剤は流れがわるいような・・・・でも、確かにcarvedilolは心不全の治療で手応えがあるごとく別格という気がします。


90前の老人に左室駆出28%→48%という劇的改善も経験しておりまして・・・これで比較的安心してつかえるかなぁと・・・

by internalmedicine | 2004-11-10 12:19 | 動脈硬化/循環器  

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