心不全の治療:亜硝酸剤+ヒドララジン・・・黒人だけの心不全治療
2004年 11月 11日
ヒドララジンというのはとても古い薬で、私たちの学生時代のころも副作用から先に覚えた薬剤でしたが、ほとんど使用経験有りません
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末梢血管血管平滑筋の直接作用による血管拡張作用
心拍数・心拍出量の増加は血管抵抗減少に伴う反射性の交感神経緊張は有るが、β-アドレナリン受容体遮断剤又は節遮断剤により抑制
腎・脳血流量に関しては血管抵抗の減少とともに維持又は増加
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という作用をみれば理想的な気がします。
なぜか、黒人のみ対象にした検討です。
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Combination of Isosorbide Dinitrate and Hydralazine in Blacks with Heart Failure
http://content.nejm.org/cgi/content/short/351/20/2049
NEJM Volume 351:2049-2057 November 11, 2004 Number 20
初期投与
hydralazine hydrochloride 37.5mg
ISDN 20mg
1日3回
↓
hydralazine hydrochloride 225mg
ISDN 120mg
1日量まで増加
:
hydralazine hydrochloride(アプレゾリン錠)
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2142004B2040_1_06/
ISDN
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2171016F1066_1_05/
プラセボ比較して生存率 10.2% vs 6.2% (P=.02)
:有意にプラセボ
平均複合スコア改善:–0.1±1.9 vs. –0.5±2.0, P=0.01
QOLも改善: –5.6±20.6 vs. –2.7±21.2
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この研究である ”African-American Heart Failure Trial (A-HeFT) ”は黒人のみを対象にしているところが特異的です。
“黒人の腎臓は小さく、糸球体の数が少ないとされています。上述の濾過能とは、糸球体の個数と1個の糸球体当たりの濾過能力との積で決定されますので、黒人では濾過能の低下が推定される訳です”という具合に黒人では塩分感受性が高いので、このヒドララジンが有効なのかもしれません。
日本人はどうかというとわかりませんが・・・
今後、人種特異性と薬剤効果の問題がまたクローズアップされるのか?
by internalmedicine | 2004-11-11 10:43 | 動脈硬化/循環器