EPaNICトライアル:非経口栄養摂取はICU入室8日以降へ(北米ガイドラインの勝ち?)
2011年 06月 30日
結論は、非経口栄養摂取を先延ばしする北米のガイドラインの方が回復も早く、合併症も少ないというもの
BMI 17以上で、慢性の栄養的異常をもたない被験者を対象にした比較なので、栄養不良患者は含まないことに注意。
Early versus Late Parenteral Nutrition in Critically Ill Adults
Michael P. Casaer et. al.
N Engl. J Med. June 29, 2011 (10.1056/NEJMoa1102662)
このランダム化多施設トライアルは、非経口的栄養投与のタイミング、ヨーロッパのガイドラインに従った”early initiation”と米国・カナダのガイドラインに従った"late initiation"比較。
2312名への非経口的栄養投与を”早期開始群”、ICU入室48時間内とday 8まで開始しない”遅延開始群”との比較。”早期開始群”プロトコールを両介入に適応。
上段は総エネルギーレベル、kcal./kg BWで、経口、非経口、両者のday 1からday 16の推移
下段は栄養目標比率
非経口投与遅延開始群では、ICUからの生存退室尤度 6.3%相対的増加 (hazard ratio, 1.06; 95% 信頼区間 [CI], 1.00 to 1.13; P=0.04) 、退院尤度増加 (hazard ratio, 1.06; 95% CI, 1.00 to 1.13; P=0.04)、退院時の機能状況減少認めず。
ICU死亡・院内死亡・90日生存率は両群同等。
非経口投与遷延開始群では、早期開始群に比べ、ICU感染、コレステロール減少頻度少ない (22.8% vs. 26.2%, P=0.008、P<0.001)
人工呼吸必要日数2日以上非理を9.7%減少 (P=0.006)、腎保護治療日数を3日中央値減少 (P=0.008)、コストを €1,110 (about $1,600) (P=0.04)減少。
ICU入室後不充分な非経口栄養投与割り付け開始では、ビタミン不足、トレースミネラルやミネラル不足のままの非経口摂取群にさえ劣ることとなる。
非経口栄養投与ではグルタミンの投与、低蛋白/エネルギー比率、消費エネルギー計算法、わりつけが目隠しでなかったなどの研究手段に伴う問題点がある。
by internalmedicine | 2011-06-30 07:55 | 集中・救急医療