アレルギー性副鼻腔炎・好酸球(増多)性(慢性)副鼻腔炎・アレルギー性真菌性副鼻腔炎

―――――――――――――――
アレルギー性副鼻腔炎
好酸球(増多)性(慢性)副鼻腔炎
アレルギー性真菌性副鼻腔炎
―――――――――――――――
似て非なる病名です。上記病名にドラスティックな変化が生じております。
耳鼻科以外の医者には、まださほど知られてないのでは?

アレルギー反応が副鼻腔で生じているかどうか議論があり、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の直接の関連を示すことに疑問が生じている。
http://www.respiratoryreviews.com/feb01/rr_feb01_sinusitis.html
むしろ、重症のアレルギー性鼻炎でも副鼻腔にアレルギー性病変がないという報告(Slavin RG, Leipzig JR, Goodgold HM. “Allergic sinusitis” revisited. Ann Allergy Asthma Immunol. 2000;85:273-276)がり、レントゲンにて異常な副鼻腔を示した場合は副鼻腔感染を示唆するのであり、単独のアレルギー性副鼻腔炎は存在しないとの考えもRespiratory Review誌に掲載されています。
核種イメージングにより、重症のnasal turbinatesの腫大を持つ患者でも副鼻腔での取り込みの増加がないこと、ラベルされた白血球の検査でも異常を示したものがなかったなどアレルギー性鼻炎と副鼻腔炎とは区分けされるべきものとの考えが主流なようです。

そんな議論が盛んな中・・・・

好酸球性副鼻腔炎:Eosinophilic Chronic Sinusitis:参考

一部には真菌感染症との関連を取りざたされることもあります(http://www.news-medical.net/?id=1014))
研究者たちは最近好酸球性慢性副鼻腔炎は真菌に対する生体の反応により生じたもので、空気由来で特段の問題を起こすことなく粘膜上皮に付着、人によって免疫反応を生じるものがいる・・・・ 



そして、病名としての、“アレルギー性真菌性副鼻腔炎:Allergic fungal sinusitis”なる病名も
http://www2.us.elsevierhealth.com/scripts/om.dll/serve?action=searchDB&searchDBfor=art&artType=abs&id=as019459980400422x&nav=abs

――――――――――――――――――――――――――――――――

この方面はまだ概念が固まって無いようですので、今後議論がぶれる可能性があります。

<感想>
なぜ、取り上げたかというと、以前この“好酸球性副鼻腔炎”について耳鼻咽喉科の先生からある講演会で話を聞いたのですが・・・喘息と対比すると興味深く聞いておりまして
喘息関連疾患に“アレルギー性気管支肺アスペルギルス症”(ABPA)という病気があります。これは、感染とともにアレルギー症状を生じ、各種アレルギーI型、III型、IV型に及ぶということで大変興味深い病態で、さほど呼吸器専門医にとっては珍しい病気でもありません。この関係でみれば副鼻腔の開存性と各種アレルギー形態が興味深いという質問を行ったのですが、その当時はどうも講師の念頭に無かったようでした・

by internalmedicine | 2004-11-13 10:11 | 呼吸器系  

<< アルコールはメタボリック症候群... 米国の失敗を日本に導入するな! 小泉 >>