ナーシングホーム入所者に対する疼痛総合対策は行動異常を減少させる

パラセタモール(アセトアミノフェン)、モルヒネ、ブプレノルフィン経皮パッチ、プレガバリンといった段階治療を8週間行い、疼痛コントロールをする介入により、agitationが少なくなり、無用な向精神薬処方が少なくなったとのこと。

Efficacy of treating pain to reduce behavioural disturbances in residents of nursing homes with dementia: cluster randomised clinical trial
BMJ 2011; 343:d4065 doi: 10.1136/bmj.d4065

Agitation (scores on Cohen-Mansfield agitation inventory)をプライマリアウトカムとして、セカンダリとしてaggression (scores on neuropsychiatric inventory-nursing home version)、 pain (scores on mobilisation-observation-behaviour-intensity-dementia-2)、 activities of daily living, and cognition (mini-mental state examination)を設定。


Agitationは介入群で有意に8週後減少  (repeated measures analysis of covariance adjusting for baseline score, P<0.001)
平均agitationスコア減少は17%(治療効果推定 -7.0 95%信頼区間 -3.7 to 10.3)

疼痛治療は有意に神経精神症状包括重症度に対し有益 (−9.0, −5.5 to −12.6)、疼痛にも有益(−1.3, −0.8 to −1.7)だが、ADLや認知機能への影響は無かった。


痛みをとってあげることが、精神神経症状に、良い影響を与えることになるらしい・・・

攻撃性や衝動性などあれば向精神薬を用いがちであり、ナーシングホームの40%-60%が同種薬剤を処方されているという序文での紹介。英国では18万人が認知症患者に処方し、超過卒中例が1620、死亡例が1800と推定されている。ナーシングホーム入所者の50-80%が未診断下疼痛であり、認知症患者の神経精神的治療における疼痛マネージメントの重要性が着目されつつある・・・


認知症患者の攻撃性の中に”疼痛の訴え”なのかもしれないと考えるべきかもしれない。腰背部痛を強く訴える認知症患者をほっとかないことが大事なのだろう。

by internalmedicine | 2011-07-20 11:13 | 精神・認知  

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