少量アスピリン投与中止心筋梗塞 年間1000名あたり4名増加

症例対照研究なので、解釈上の限界有ることに注意すべきだが、アスピリン中止はその後の心血管イベントに影響を与えることに留意すべきだろう。


Discontinuation of low dose aspirin and risk of myocardial infarction: case-control study in UK primary care
BMJ 2011; 343:d4094 doi: 10.1136/bmj.d4094 (Published 19 July 2011)

UKでのHealth Improvement Network (THIN) databaseを用いた検討

876名の非致死的心筋梗塞、346名の冠動脈性心疾患
現行ユーザーと比較して、直近のアスピリン服用中止は有意に非致死的心筋梗塞・冠動脈性心疾患死亡組み合わせを有意に増加:リスク比   1.43, 95% confidence interval 1.12 to 1.84) 、非致死的心筋梗塞単独でも増加 (リスク比 1.63, 1.23 to 2.14)

直近の低用量アスピリン中止と冠動脈性心疾患死亡リスクの相関は認めない (1.07, 0.67 to 1.69)

アスピリン中止後、非致死的心筋梗塞について、継続例に比べ、1000名あたり、1年間で、約4名ほど増やすこととなる。


当地では、特に歯科、眼科から多いのだが、白内障手術や中には睫毛処置にさえ、少量アスピリン中止してくれと直接間接に依頼がある。

ベースラインの疾患によるのだろうが、どれくらいの悪影響があるのだろうか・・・そういうときに、アスピリン中止によるリスクの客観的データを依頼主にこれらのデータを提示したくなる。そういうときに役立つ?データ

当院では、.....の理由で少量アスピリン投与しております。別紙症例対照研究データにおきましては、少量アスピリン投与中止により年間0.4%程度の非致死的心筋梗塞の可能性が示唆されます。当然ながら症例対照研究・人種の問題・研究背景・研究機関の問題があり、同等には比較できないと思いますが、貴院に於ける手術による出血リスクは自院にて判断いただきたく存じます。必要と判断されれば、中止指示行ってください。

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こういう文面を返書のデフォと考えている。

処置する側のリスクを含め、かかりつけ医に全面委任するような返事を強要することはおかしい。なぜなれば処置側リスクなんてかかりつけ医側で判断できるはずもないから。
その上で、眼科には以下論文を付記。

Risks and benefits of anticoagulant and antiplatelet medication use before cataract surgery. Ophthalmology 2003; 110:1784-1788.

循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)
Guidelines for management of anticoagulant and antiplatelet therapy in cardiovascular disease(JCS 2009)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_hori_d.pdf
”p18 抜糸や手術時の対応”には、抗凝固療法、ワーファリンのことのみ書かれている。

by internalmedicine | 2011-07-22 09:25 | 動脈硬化/循環器  

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