医師は犯罪者、しかも良い医師ほど。マスゴミの追求で数年で医師絶滅

年々、医者への風当たりが強くなり、特に医師会とながついたりすると、色眼鏡でみられたり、マスコミのキャンペーンが成功しているのでしょうか?したり顔のニュース番組のコメンテーターも浅い知識で医師・医師会批判、表面的でステレオタイプ、実態をしろうともせず・・・・ということで、以下アイロニーを含んだ内容です。


まず、医師への印象は、保険上悪さをして、しかも、勉強不足のために誤診だらけというイメージでしょうか?
健康保険のルールというのはまか不思議でして、医学・医療とは別に法律に近いルールがあります。で、このルールを守らないと、保険医業をやめなければならなくなります。これを監督するのがお役所に近い保険事務所で、保健医療の停止させる権限をもっていますので、さからえば、医師としての死となります。
しかも、このルールというのが、明文化されてない部分があり、また解釈がいろいろです。非常に曖昧な部分が多いのです。そして、そのルールをすべて公開しようとしない。
たとえば、冠動脈ステントをいれる治療をした後のパナルジンなどは保険適応がありません。
医師の良心として、こういう薬剤を使ったほうがよさそうなのに、使えない、あるいは使ってしまうと法律違反ということになります。
次善策として、保険者側に理解をしてもらっておめこぼししてもらうこととなります。ただ、保険者というのが数が多く、すべてに交渉するのは不可能です。
で、結局医師の多くが潜在的犯罪者ということになります。不正請求としてあげられるものの一角が体制の問題であり、医師の良心から派生したものもあるというわけです。もっとも多い例として、現在の高コレステロール血症に対する標準的治療薬と思われるリピトール、これは保険適応病名として“高コレステロール血症”しか認められておりません。だったら、それでよいではないかといわれるかもしれませんが、高脂血症はいろいろタイプがあり、むしろコレステロール単独増加はIb型だけで、最近増えている糖尿病などに伴う場合は高中性脂肪の合併などは中性脂肪増加、HDLコレステロールの低下を含みます。こういう場合は、電気泳動などをして、医学的には高脂質症(IV型)などというのがただしいのかもしれません。ただそのように記載しても、“法律”上はみとめられないところがある。そして、医学的には正しくても、保険上の違反をおかしている。すなわち犯罪者となるわけです。医学的に正しい記載をすると犯罪者になる。
だからしかたなく、高コレステロール血症・高中性脂肪血症などとかくこととなります。ところが、これにも文句をいってきて、複数病名をかくなと・・・どうしたらよいの?
ある疑義紹介をみると、上記事例の他、喘息の拡張剤試験のことがかかれております。ピークフローモニタリングがあるから拡張剤試験をおこなわなくてよいと・・・。あきれはてますね。喘息の患者がきて、その結果が判明するまで数日から数ヶ月かかるピークフローモニタリングで診断せよといっているわけです。もともとピークフローモニタリングは診断に使うものではなく、診断に使う場合老人や小児では再現性・標準化に問題あり、こんなこと学会でいったらその医師は袋だたきになるはずです。医学でない、訳のわからない価値観?の世界で、医療が評価されているわけです。
医師会はアホですから、“医師の裁量権”なんていいだすから、マスゴミが医師は傲慢だと言い出すわけで、“正しい医療をする権利”とでもいえばいいのに・・・

JAMAをみていたらくも膜下出血の誤診?の率が12%で、正常の意識状態のとき
は19%・・・。家族にこの診断で死亡した経験があり、なんとなく調子が悪いというだけで受診し、その後SAHとなった患者の受診経験しており、どうも気になる報告です。日本の医療機関のフリーアクセスは誇れるものですが、mental statusの正常のない軽症でもimpending ruptureあるいは軽症患者をみることが多いのではないかと思われ、日本ではもっと誤診率?はたかいのではないかと思われ、とても気になる論文でした。
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Initial Misdiagnosis and Outcome After Subarachnoid Hemorrhage
JAMA. 2004;291:787.
12%に初診時誤診断、正常のmental stateでは19%
片頭痛、緊張性頭痛として誤診断されるのがもっとも多い(36%)
CTを行わなかったことがもっとも目立つエラー(73%)
正確な診断がなされる前に神経学的合併症は39%
再出血を経験した12人の患者(21%)を含め正確な診断前に神経学的合併症が22人の患者
(39%)にあり
mental state正常、小さいSAHサイズ、右側の動脈瘤が誤診断率が高い
最初、mental stateが正常のうち、誤診断は3ヶ月後のQOL、死亡リスク、重症の
disabilityに相関あり
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で以上のデータに基づいて、一般的には年間人口10万人あたり発症頻度約12人(根拠)とすれば、乱暴に言えば、私どもの所属する医療圏が、ちょうど人口10万人、うち12%が誤診で、毎年人口10万人地域で1~2名が誤診をする医師となとなってしまいます。
全国規模ですと、この1千倍ですから、ちょうど満遍なく誤診をいたしますと、1千人~2千人の医師が誤診をすることとなります。この病気は比較的少ないわけですから、新しい医師は毎年8千人程度、これも徐々に減少してますし、老医師が引退してきておりますので、誤診を厳しくとりしまれば、毎年1万人ずつ医師は減っていきます。
他の心疾患やガンなどの誤診を計算すれば、めでたく20-30年で医師が日本からいなくなります。マスコミの思う壺でしょうか?

ちなみに現在でも医師数はOECD各国の中で低位のほうです。

システムに対する批判でなく、個人批判に終始するマスコミ、それをし向ける行政に憤りを感じている一開業医でした。

by internalmedicine | 2004-04-05 11:37 | メディア問題  

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