閉経後女性の反復性膀胱炎: クランベリー成分予防 vs 抗菌的予防
2011年 07月 26日
再発性膀胱炎閉経後女性221名の女性に二重盲検二重ダミートライアル
クランベリーが尿路感染に用いられることが多く、それを trimethoprim-sulfamethoxazole (TMP-SMX) 480mg/日予防的に用いることと、クランベリーカプセル 500mg×2/日を使うことで予防的に効果有るかどうか
Cranberries vs Antibiotics to Prevent Urinary Tract Infections
A Randomized Double-blind Noninferiority Trial in Premenopausal Women
Arch Intern Med. 2011;171(14):1270-1278. doi:10.1001/archinternmed.2011.306
12ヶ月後、最低1回の有症状UTI患者平均数はクランベリー群の方がTMP-SMX群より回数多い (4.0 vs 1.8; P = .02)、比率も多い (78.2% vs 71.1%)
初回有症状UTI機関中央値はクランベリーで4ヶ月、TMP-SMX群で8ヶ月。
1ヶ月後、クランベリー群はfecal由来 23.7%、無症状細菌大腸菌の28.1%がTMP-SMX耐性
TMP-SMX群は86.3%、90.5%が耐性。
同様に、TMP-SMX群では、大腸菌に於けるtrimethoprim、アモキシシリン、シプロキサンの耐性率増加。
TMP-SMX中止後3ヶ月で耐性はベースラインレベルに回復する。
抗生剤耐性はクランベリー群では増加せず。
クランベリー群やTMP-SMX群は耐性同等。
解釈難しいと思うのだが、米国女性の間にクランベリー使用は広まっており、実際、プラセボ比較では有効性が示されている(e.g. Reduction of Bacteriuria and Pyuria After Ingestion of Cranberry Juice JAMA. 1994;271(10):751-754. doi: 10.1001/jama.1994.03510340041031)とのこと
報道されてるのは、”クランベリーは膀胱炎にたいした手助けにならない”(Cranberries Little Help for Bladder: http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/GeneralInfectiousDisease/27725 )。ST合剤予防は耐性化は確かに存在するが一過性であり、問題は限定的という解釈も・・・。
さらに、クランベリーの有効成分であろう、proanthocyanidinはbioavailability低く10%程度であり、臨床的な有効性まで到達してない可能性があるとのこと。
でも、プラセボより効果あるんだったらコストさえ見合えば使って良いような気もするのだが・・・
昨夜もラジオを聞いてると、”うれしいお知らせが届きました”という、ワンパターンのフレーズ。
それで、ブルーベリーで視力回復を思わせるコマーシャルがしつこく流れていた。
こちらの方は、人間での明確なエビデンスをなかなか見いだすことは困難なのだが・・・
by internalmedicine | 2011-07-26 08:49 | 感染症